乳がんは世界中の女性の中で最も多く診断されるがんであり、以前から女性の夜勤労働者と乳がんリスクとの関連を明らかにしようと、多くのメタアナリシスは試みたが、その結論は多様である。中国・四川大学では、長期にわたる夜間作業が、女性のがんのリスクを増加させるかを確認するためにメタ解析を行った。Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention誌オンライン版2018年1月8日号掲載。
・ヨーロッパ、北米、アジア、オーストラリアにける390万9,152名の参加者および11万4,628症例から成る61件の論文を登録した(内訳はコホート研究26件、ケースコントロール研究24例、コホート内症例対照研究11例)。
・リスク推定は、ランダム効果モデルまたは固定効果モデルを用いて行った。
・女性全体における長期間の夜間シフト勤務と11がん種のリスクとの関係を分析した。
・女性看護師における長期間の夜間シフト勤務と6がん種のリスクとの関係を分析した。
・乳がんリスクに対する夜間勤務の累積効果を定量評価するために、用量反応分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・女性全体では、長期間の夜間シフト勤務により、乳がん(OR :1.316、95%CI:1.196~1.448)、消化器がん(OR:1.177、95%CI:1.065~1.301)、皮膚がんリスク(OR:1.408、95%CI:1.024~1.934)が増加した。
・女性看護師においては、長期の夜間シフト勤務により、乳がん(OR:1.577、95%CI:1.235~2.014)、消化器がん(OR:1.350、95%CI:1.030~1.770)、肺がんリスク(OR:1.280、95%CI:1.070~1.531)が増加した。
・夜間勤務5年ごとに、女性の乳がんリスクは3.3%増加した(OR:1.033、95%CI:1.012~1.056)。
(ケアネット 細田 雅之)