ミトコンドリアATPシンターゼと加齢や認知症との関連 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/02/02 アルツハイマー病などの認知症が増加する根本的な要因は、老化である。老化を治療戦略とする考え方は新しいものではないが、老化と加齢による疾患が分子レベルで、どれほど密接に関連しているかはよくわかっていない。米国・ソーク研究所のJoshua Goldberg氏らは、アルツハイマー病の候補薬J147の分子標的を同定し、老化と認知症との新規分子リンクを発見するための検討を行った。Aging cell誌オンライン版2018年1月7日号の報告。 J147は、脳の老化に関連する疾患毒性を模倣する一連のスクリーニングアッセイを用いて開発された。著者らはこれまで、アルツハイマー病モデルマウスにおけるJ147の治療効果を実証してきた。本検討では、ミトコンドリアα-F1-ATP合成酵素(ATP5A)をJ147 の標的として同定した。 主な結果は以下のとおり。 ・ATP合成酵素を標的とすることにより、J147は標準的な長寿メカニズムであるAMPK/mTOR経路のCAMKK2依存活性化の持続をもたらし、細胞内のカルシウム増加を引き起こした。 ・J147によるミトコンドリアプロセスの調整は、マウスの海馬トランスクリプトームおよび血漿メタボロームの年齢に関連した流動を抑制し、ショウジョウバエの寿命を延長した。 著者らは「老化と加齢に伴う認知症とがATP合成酵素により結び付けられた。J147は、老化と認知症の両方を抑制するために開発可能な分子標的治療薬である。このことから、新規アルツハイマー病候補薬のためのスクリーニングが、確立された老化経路に影響する化合物を同定することを示しており、両者の間に思ったより近い分子関係があることを示唆している」としている。 ■関連記事 アルツハイマー病に関する臨床試験、その進行状況は アルツハイマーの早期発見が可能となるか 日本のアルツハイマー病、30年の推移:九州大 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Goldberg J, et al. Aging Cell. 2018 Jan 7. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] エビデンスが本の中で踊っている【Dr.倉原の“俺の本棚”】第1回(2018/01/15) Dr.志賀のパーフェクト!基本手技 (2018/01/07) 医師が選んだ"2017年の10大ニュース"! 【CareNet.com会員アンケート結果発表】(2017/12/04) Dr.徳田のすぐできるフィジカル超実技(2017/11/07) Dr.林の笑劇的救急問答13<上巻>(2017/10/07) 国立国際医療研究センター総合診療科presents 内科インテンシブレビュー2017 (2枚組)(2017/09/07) Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(上巻)(2017/09/07)