急性増悪期の薬物療法に関するエビデンスレビュー 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/02/21 救急部での精神症状の急性増悪の管理における抗精神病薬使用の主な目的は、過鎮静を起こすことなく急速に静穏を図り、患者が自身のケアに携われるようにすることである。しかし、比較研究は不足しており、とくに新規の急速鎮静を示す第2世代抗精神病薬の研究が不足している。米国・Chicago Medical SchoolのLeslie S. Zun氏は、急性増悪期の薬物療法に関するエビデンスのレビューを行った。The Journal of emergency medicine誌オンライン版2018年1月17日号の報告。 この構造化されたエビデンスベースのレビューでは、PubMedデータベースの文献検索により抽出されたランダム化比較試験のデータを用いて、急性増悪に対する抗精神病薬治療の有効性について比較検討を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・28件の盲検ランダム化比較試験が抽出された。 ・ziprasidone、オランザピンの筋注製剤投与後は、共に15~30分で有効性が確認された。ハロペリドールの筋注製剤とロラゼパムとの組み合わせは30~60分、アリピプラゾールの筋注製剤は45~90分であった。 ・経口投与の場合、最初の評価時点において、オランザピンは15~120分、リスペリドンは30~120分、アセナピン舌下錠は15分で有効性が確認された。 ・loxapine吸入剤では、10~20分以内で有意な効果が認められた。 ・ドロペリドール静注は、約5~10分以内にはっきりした効果が認められた。 ・効果発現は、ベンゾジアゼピンよりも、第2世代抗精神病薬のほうがより速かったが、データは限られていた。 著者らは「このレビューに含まれる試験の患者集団は、救急部の実情を反映しているとは言えないが、今回の結果によって救急部に急性増悪患者の治療のための第2世代抗精神病薬の急速な有効性に関する情報を提供することができる」としている。 ■関連記事 統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター 急性期精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用をどう考える 急性期統合失調症、ハロペリドールの最適用量は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Zun LS. J Emerg Med. 2018 Jan 17. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 アセナピンとオランザピン、日本人統合失調症患者での治療継続率 医療一般 日本発エビデンス(2022/02/02) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 早期TN乳がん、多遺伝子シグネチャー活用で予後改善/BMJ(2024/11/14) 心房細動を伴う脳梗塞後のDOAC開始、早期vs.晩期/Lancet(2024/11/14) 肺がんにおける悪液質の介入は確定診断前から?/日本肺癌学会(2024/11/14) 末期腎不全の患者、男女ともに過体重・肥満者が増加/新潟大(2024/11/14) 統合失調症に対する電気けいれん療法後の再発率〜メタ解析(2024/11/14) 変形性関節症/関節リウマチ患者の約4割が抑うつ、不安、線維筋痛症のいずれかを合併(2024/11/14) 将来は1時間程度で結果が出る血液検査が可能に?(2024/11/14) 飛行機の換気システムでナッツアレルゲンは広がらない(2024/11/14) [ あわせて読みたい ] エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09) 「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08) 「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06) Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17)