長期的なベンゾジアゼピン治療による有害な影響を示すエビデンスが増加している。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のLouise Wingard氏らは、双極性障害におけるベンゾジアゼピンおよびZ薬の長期使用の割合と、その予測因子について調査を行った。Bipolar disorders誌オンライン版2018年2月16日号の報告。
スウェーデン全国患者登録のデータを用いて、集団ベースコホート研究を実施した。2006年7月~2012年12月に双極性障害または躁病と診断された、18~75歳のスウェーデン住民のうち、ベンゾジアゼピンおよびZ薬の使用歴のない患者を対象とした。ベンゾジアゼピンおよびZ薬の処方に関して、対象患者を1年間フォローアップ調査した。6ヵ月超の連続使用を「長期」と定義し、使用開始した患者について、さらに1年間フォローアップを行った。長期使用の潜在的な予測因子として、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、患者および処方の特性に関する調査を行った。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者2万1,883例のうち、ベンゾジアゼピンおよびZ薬治療を開始した患者は29%であった。そのうち、5例に1例が長期使用患者となっていた。
・クロナゼパム(調整オッズ比:3.78、95%CI:2.24~6.38)、アルプラゾラム(調整オッズ比:2.03、95%CI:1.30~3.18)を処方された患者は、ジアゼパムを処方された患者と比較し、長期使用の可能性が高かった。
・長期使用の予測因子は、ベンゾジアゼピンおよびZ薬の多剤併用療法(調整オッズ比:2.46、95%CI:1.79~3.38)、60歳以上(調整オッズ比:1.93、95%CI:1.46~2.53[30歳未満との比較])、神経刺激薬の併用療法(調整オッズ比:1.78、95%CI:1.33~2.39)であった。
著者らは「双極性障害に対するベンゾジアゼピンの使用開始は、その後の長期使用の可能性が高かった。クロナゼパム、アルプラゾラムでの治療、またはベンゾジアゼピンおよびZ薬の多剤併用療法を行っている患者では長期使用患者となる可能性が高く、これらの治療は制限的な使用で行われるべきである」としている。
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(鷹野 敦夫)