中国・中山大学のZhixi Li氏らは、ディープラーニングを用い、カラー眼底写真で緑内障性視神経症を自動的に分類するシステムの開発、検証を行い、高い感度と特異度で緑内障性視神経症を検出できることを示した。偽陰性の主な原因は、強度または病的近視の合併であり、偽陽性となった理由で最も多かったのは生理的陥凹と病的近視であることも明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2018年3月2日号掲載の報告。
研究グループは、カラー眼底写真4万8,116枚を後ろ向きに集め、カラー眼底写真から緑内障性視神経症として検出するディープラーニングアルゴリズムを開発し、性能を検証した。
写真を分類するために、訓練された眼科医21人が参加した。視神経乳頭陥凹(Cup)と視神経乳頭(Disc)の垂直方向における最大径比(垂直C/D比)が0.7以上、およびその他の緑内障性視神経症の典型的な変化が認められた場合に、緑内障性視神経症として分類された。
3人の評価者が合意に達したものを標準とした。完全に評価できる眼底写真8,000枚を検証データセットとして別に分け、アルゴリズムの性能の評価に用いた。ディープラーニングアルゴリズムの有効性は、感度と特異度の受信者動作特性曲線下面積(AUC)で評価した。
主な結果は以下のとおり。
・検証データセットにおいて、このディープラーニングシステムの検出能は、感度95.6%、特異度92.0%で、AUCは0.986に達した。
・偽陰性は87件で、主な理由は、病的または高度な近視(37件、42.6%)、糖尿病性網膜症(4件、4.6%)および加齢黄斑変性(3件、3.4%)などの合併(計44件、50.6%)であった。
・偽陽性(480件)となった主な理由は、生理的陥凹(267件、55.6%)などその他の眼の状態(458件、95.4%)であった。
・正常に見える眼底で偽陽性と誤って分類されたのは、22眼(4.6%)のみであった。
(ケアネット)