チェリージュースによる不眠症治療とそのメカニズムを研究するためのパイロット研究 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/03/28 不眠症は高齢者において頻繁に認められ、慢性疾患と関連している。高齢者に対する睡眠薬による不眠症治療は、転倒の発生率を増加させる恐れもある。自己報告質問票では、トリプトファン分解酵素を阻害するモンモランシータルトチェリージュースが不眠症を改善するといわれている。米国・ルイジアナ州立大学のJack N. Losso氏らは、睡眠ポリグラフ検査で睡眠状態を確認し、不眠症治療にトリプトファンが有用であるかについて検討を行った。American journal of therapeutics誌2018年3/4月号の報告。 50歳以上を対象としたバランスの取れたプラセボ対照クロスオーバー研究。参加者をプラセボまたはチェリージュース(1回240mLを1日2回、2週間)の2群にランダムに割り付け、2週間のウォッシュアウト期間を設けた。睡眠状態は、睡眠ポリグラフ検査と検証された5つの質問票により評価を行った。血清インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、血清キヌレニン/トリプトファン比、プロスタグランジンE2を測定した。in vitroにおいて、Caco-2細胞をインターフェロンγで刺激し、トリプトファンを分解し、炎症を刺激するIDOを阻害するチェリージュースプロシアニジンの作用を測定した。チェリージュース中のプロシアニジンB-2および他の主要なアントシアニンの含有量を測定した。 主な結果は以下のとおり。 ・11例中、睡眠時無呼吸症候群の3例を除く8例をランダムに割り付けた。 ・試験を完了した8例は、睡眠ポリグラフ検査において睡眠時間が84分増加し(p=0.0182)、ピッツバーグ睡眠質問票において睡眠効率が上昇していた(p=0.03)。 ・その他の質問票では、有意な差は認められなかった。 ・血清キヌレニン/トリプトファン比は減少し(p<0.05)、同様にプロスタグランジンE2レベルも減少した(p<0.05)。 ・in vitroにおいて、チェリージュース中のプロシアニジンB-2は、用量依存的にIDOを阻害した。 著者らは「チェリージュースは、睡眠時間と睡眠効率を高めた。チェリージュース中のプロシアニジンB-2は、IDOを阻害し、トリプトファンの作用を増加させ、炎症を軽減し、不眠症の改善に対し部分的に関与している可能性がある」としている。 ■関連記事 チェリージュースで認知機能が改善 うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」 ADHD発症にトリプトファンが関連か (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Losso JN, et al. Am J Ther. 2018;25:e194-e201. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 高齢者の睡眠薬の選択、ケアマネの約6割「適正薬へ見直し必要」と回答 医療一般(2017/10/02) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ニルマトレルビル・リトナビル、曝露後予防の効果なし/NEJM(2024/07/26) 卵巣がんリスク、卵巣子宮内膜症/深部子宮内膜症では9.7倍/JAMA(2024/07/26) 日本人で増加傾向の口腔がん、その最大要因とはー診療ガイドライン改訂(2024/07/26) HR+/HER2-進行乳がん1次治療、リアルワールドでのパルボシクリブ+フルベストラント/+AIの効果/日本乳癌学会(2024/07/26) 日本の精神科ガイドライン著者におけるCOI分析(2024/07/26) 感謝の気持ちは寿命を延ばす(2024/07/26) ベンゾジアゼピン系薬剤は認知症リスクを上げるか(2024/07/26) [ あわせて読みたい ] 新型コロナ治療薬の有力候補、「siRNA」への期待(2020/03/26) 開発中の治療法最前線(2020/02/17) 希少疾病・難治性疾患特集 2020(2020/02/03) Dr.林の笑劇的救急問答15<上巻>(2020/01/15) 一発診断(2019/12/11) Dr.白石のLet's エコー 運動器編(2019/11/07)