スペインにおける妊娠中の抗てんかん薬使用に関する比較研究 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/03/30 妊娠中の抗てんかん薬処方パターンは、変化してきているが、スペインでどの程度の変化が起こっているかは、よくわかっていない。妊娠中の発作をコントロールするための新薬の有効性は重要であり、長年にもわたり医師がこれらの新薬を使ってきたことによって、その処方パターンは変化している可能性がある。スペイン・Hospital Mutua de TerrassaのM. Martinez Ferri氏らは、これらの疑問を評価するため、12年にわたって収集したスペインEURAPレジストリの結果を報告した。Neurologia誌2018年3月号の報告。 インフォームドコンセントに署名した後、患者はレジストリに登録され、妊娠初期、妊娠第2期、第3期の終わり、出産後、出産1年後に評価が行われた。抗てんかん薬、てんかんの種類、妊娠1期当たりおよび妊娠期間中全体での発作頻度、妊娠中の発作のない頻度、先天性奇形の頻度について分析を行った。2001年6月~2007年10月(前期)と2008年1月~2015年5月(後期)のデータの比較を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・前期より304報、後期より127報の単剤療法の文献について比較を行った。 ・カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタールの使用が減少し、レベチラセタムの使用が明らかに増加した。また、バルプロ酸の使用がわずかに減少し、ラモトリギンおよびoxcarbazepineの使用がわずかに増加した。 ・カルバマゼピンおよびバルプロ酸で治療したてんかんの種類に変化は認められなかったが、後期においてラモトリギンで治療した全般てんかん症例は少なかった。 ・この傾向は、発作頻度の有意な変化とは関連が認められず、妊娠第3期における新規発作に対するより良いコントロールと関連が認められた。 ・発作コントロールに関して、レベチラセタムは、カルバマゼピンやバルプロ酸と同等であり、ラモトリギンよりも有効であった。 ・全般てんかんは、レベチラセタムで治療された症例の64%を占めていた。 著者らは「スペインにおける妊娠中の抗てんかん薬処方パターンは変化しており、カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタールの使用が減少していた。全般てんかんに対するラモトリギン使用が少ないため、この変化はてんかんの種類の影響を受けている。レベチラセタムは、古典的な抗てんかん薬と同様の発作コントロールを示し、ラモトリギンよりも効果的かつ良好であった」としている。 ■関連記事 妊娠可能年齢のてんかん女性にはレベチラセタム単独療法がより安全 「妊娠、抗てんかん薬」検索結果は患者に役立つか? 新規抗てんかん薬の催奇形性リスクは (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Martinez Ferri M, et al. Neurologia. 2018;33:78-84. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20) [ あわせて読みたい ] 長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3(2017/06/07) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【神経内科編】(2016/12/07) 総合内科専門医試験対策 “苦手”科目をクイック復習 2016 (2016/07/29) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.4(2016/06/07) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.3(2016/05/31) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 化療スタンダードレジメン(2014/01/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30)