フランス・Bretonneau HospitalのMarie Thulliez氏らは、滲出型加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫または網膜静脈閉塞患者において、抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬硝子体内注射と全身性有害事象との関連を評価するため、それらを検討したシステマティックレビューおよびメタ解析について要約を行った。「抗VEGF療法は全身性有害事象のリスクを増加することはない。しかし、出血リスクの高い加齢黄斑変性の高齢患者に、ラニビズマブを投与する際には注意をすることが望ましい」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年3月22日号掲載の報告。
研究グループは、PubMedおよびCochrane Central Register of Controlled Trialsデータベースを用い、システマティックレビューおよびメタ解析を検索し、抗VEGF療法と各システマティックレビューで報告された結果についてまとめた。
システマティックレビューの質は、PRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses)チェックリストおよびAMSTAR(A Measurement Tool to Assess Systematic Reviews)チェックリストver.1を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・2011年1月1日~2016年6月30日に発表された21報のシステマティックレビューについて検討した。
・21報中11報が、主要評価項目として全身性有害事象について解析していた。
・PRISMA(27項目)およびAMSTARスコア(0~11)の中央値(四分位範囲)は、それぞれ23(15~27)および8(5~11)であったが、5報はPRISMAが20未満、AMSTARスコアが7未満であった。
・すべてのレビューは、それらに組み込んでいる研究の方法論的なバイアスリスクを客観的なスケールで評価していた。最もよく用いられていたのは、Cochrane Risk of Bias Toolであった(21報中16報、76%)。
・抗VEGF薬は対照と比較し、全身性有害事象のリスクを増加させなかった。また、抗VEGF薬の月1回の計画投与と必要時投与との比較でも同様であった。
・最新の網羅的に行われたレビューでは、ベバシズマブはラニビズマブと比較し全身性有害事象のリスク増加と関連していなかったが、ラニビズマブは対照と比較して、加齢黄斑変性患者における非眼性出血リスクの増大と関連している可能性が示された。
(ケアネット)