学校の試験成績と双極性障害発症との関連

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2018/04/06

 

 これまでの研究で、ハイスクールとロースクール両方での成績が双極性障害(BD)の発症と関連していることが示唆されているが、これらの研究では、交絡因子と考えられる親の精神症状の既往歴による調整は行われていない。また、学校の成績と双極性I型障害(BD-I)との関連も研究されていない。デンマーク・オーフス大学病院のSteffie Damgaard Pedersen氏らは、親の精神症状の既往歴を調整しながら、学校の試験成績とBD、BD-Iとの関連について検討を行った。Acta neuropsychiatrica誌オンライン版2018年3月13日号の報告。

 1987~95年にデンマークで生まれた50万5,688例をフォローした、レジストリベースの全国コホート研究を実施した。学校の試験成績とBDまたはBD-I発症との関連について、精神症状の家族歴および他の潜在的な交絡因子を調整したCoxモデルを用いて調査を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・フォローアップ期間中にBDと診断された患者は900例、BD-Iと診断された患者は277例であった。
・BD(調整ハザード比[aHR]:1.71、95%CI:1.43~2.04)およびBD-I(aHR:1.57、95%CI:1.13~2.19)リスクは、期限内に試験を完了しなかった学生で有意に増加した。
・数学の試験成績の低さが、BD(aHR:2.41、95%CI:1.27~4.59)およびBD-I(aHR:2.71、95%CI:1.41~5.21)リスクの増加と関連していた。
・デンマーク語の試験成績が非常に高い(百分位数97.7超)女生徒は、BD-Iリスクが有意に高かった(aHR:2.49、95%CI:1.19~5.23)。

 著者らは「BD発症の可能性は、BD診断前であっても学校の成績結果に否定的に影響すると考えられる」としている。

■関連記事
小児・思春期の双極性障害に対する非定型抗精神病薬vs気分安定薬
小児双極I型障害に対するアリピプラゾールの効果は
小児の双極性障害I型または統合失調症に対するアセナピン治療のレビュー

(鷹野 敦夫)