高齢者うつ病に対する薬物療法の進歩 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/05/10 最近の高齢者うつ病に対する薬物療法の研究を、単剤療法や増強療法に関する最新情報に焦点を当て、米国・デューク大学のJohn L. Beyer氏らがレビューを行った。また、臨床反応のモデレーターに関する新たな研究や有効性の改善に関する情報をどのように用いるかについてもレビューを行った。Current psychiatry reports誌2018年4月7日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・最近のレビューでは、高齢者のうつ病治療に対し、セルトラリン、パロキセチン、デュロキセチンが、プラセボよりも優れていることが示唆されている。 ・パロキセチンは、高齢者に対し抗コリン作動性による有害なアウトカムの発現が懸念されているが、研究においては、死亡率、認知症リスク、認知機能尺度の変化が認められていない。 ・より新規の抗うつ薬の中では、vortioxetineが高齢者うつ病に有効であることが証明されている。また、クエチアピンは、とくに睡眠障害を有する患者に有効性が示されており、アリピプラゾール増強療法は、治療抵抗性高齢者うつ病に対し、安全かつ有効であることがわかっている。 ・研究者らは、治療に導くことが可能な高齢者うつ病のモデレーターを特定している。 ・また、研究者らは、モデレーター、神経解剖学モデル、抗うつ反応をどうすれば関連付けられるかを学んでいる。 著者らは「現時点においても、高齢者うつ病の第1選択薬は、SSRIやSNRIである。また、アリピプラゾールは、治療抵抗性高齢者うつ病に対し、効果的かつ安全な増強治療薬である。研究においては、治療反応を高めることのできる実行可能なモデレーターを特定している」としている。 ■関連記事 うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は 高齢者の遅発性うつ病に影響する要因とは:東大 なぜ高齢期うつ病は寛解率が低いのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Beyer JL, et al. Curr Psychiatry Rep. 2018;20:34. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 高齢者のうつ病治療ガイドラインのポイント~日本うつ病学会 医療一般 日本発エビデンス(2022/04/13) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 中等~重度の椎骨脳底動脈閉塞、血管内治療vs.内科的治療/Lancet(2024/12/26) 重症血友病A、新たな第VIII因子発現遺伝子治療が有望/NEJM(2024/12/26) 日本のメモリークリニックにおける聴覚障害や社会的関係とBPSDとの関連性(2024/12/26) 一部の主要ながんによる死亡回避、予防が治療を上回る(2024/12/26) 抗菌薬と手術、小児の虫垂炎に最善の治療法はどちら?(2024/12/26) 動物性から植物性タンパク質への摂取移行は心臓の健康に有益(2024/12/26) 歯周病と糖尿病の強固な関連(2024/12/26) 抗凝固薬とNSAIDsの併用は出血リスクを高める(2024/12/26) [ あわせて読みたい ] エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09) 「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08) 「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06) Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17)