Stage II/IIIの治癒切除胃がんに対する標準治療として、本邦ではS-1による術後補助化学療法が用いられるが、Stage IIIにおけるアウトカムは十分とはいえない。米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、名古屋大学医学部附属病院の小寺 泰弘氏が、Stage III の上記患者に対するS-1/ドセタキセル併用療法とS-1単独療法を比較したJACCRO GC-07(START-2)試験の結果を発表した。
S-1/ドセタキセル併用の術後補助化学療法は安全で管理可能な治療法
同試験は、本邦の138施設が参加した第III相ランダム化比較試験。対象はD2リンパ節切除症例のうちR0手術後のStage III治癒切除胃がん患者で、施設、Stage(IIIA、IIIB、またはIIIC)および組織型(分化または未分化)によって層別化され、S-1/ドセタキセル併用療法群(併用群)とS-1単独療法群(対照群)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、併用群における3年無再発生存期間(RFS)の7%増加(ハザード比[HR]:0.78、2-sidedα=0.05、β=0.2)で、その検出に必要な症例数は1,100例とされた。副次評価項目は、全生存期間(OS)、治療成功期間(TTF)、および安全性であった。
両群のレジメンは以下のとおり。
・S-1/ドセタキセル併用群
サイクル1(3週間):S-1(80mg/m
2)を1日2回、14日間連続投与し、7日間休薬
サイクル2~7(3週間ずつ):ドセタキセル(40mg/m
2)を各サイクル初日に投与
し、S-1(80mg/m
2)を1日2回、14日間連続投与し、7日間休薬
サイクル8以降(6週間ずつ):S-1(80mg/m
2)を1日2回、28日間連日投与し、
14日間休薬 → 手術1年後まで繰り返す
・S-1 単独療法群
S-1(80mg/m
2)を1日2回、28日間連続投与し、14日間休薬を1サイクル
(6週間)として手術1年後まで繰り返す
2017年4月に実施された、あらかじめ計画されていた2回目の中間解析の時点で、S-1/ドセタキセル併用群456例、対照群459例が本試験に組み入れられた。中間解析の結果、S-1/ドセタキセル併用群の3年RFSは対照群と比較して有意に良好であった(HR:0.632、95%信頼区間[CI]:0.400~0.998、p=0.0007)。そのため、独立の効果安全性評価委員会により、試験の有効中止が勧告された。S-1/ドセタキセル併用群では対照群と比較して、血行性、リンパ性および播種性を含むすべてのタイプで再発を抑制した。
Grade3以上の有害事象は、白血球減少症と好中球減少症、発熱性好中球減少症について併用群で頻度が高かったが、全体として、S-1/ドセタキセル併用の術後補助化学療法は安全で管理可能な治療法といえる。
※医師限定ASCO2018最新情報ピックアップDoctors’ Picksは
こちら
(ケアネット 遊佐 なつみ)