乳がん診断後の女性の飲酒と乳がん無発症生存(breast cancer-free survival)の関連を調べた米国・フロリダ大学のAllison Kowalski氏らの研究で、アジュバントホルモン療法の有無に関係なく、飲酒者で無発症生存率が高いことが報告された。Journal of Breast Cancer誌2018年6月号に掲載。
飲酒は乳がんリスクを増加させるが、乳がん診断後の生存との関連におけるこれまでの知見は一貫していない。さらに、これらの関連がアジュバントホルモン療法の有無によって異なるかどうかは不明である。本研究では、モフィットがんセンターで2007~12年に原発性乳がんと診断された女性1,399例に、診断される前の年の飲酒量を調査した。腫瘍特性や乳がん治療、結果についてはモフィットがん登録から入手した。潜在的な交絡因子の調整後、アジュバントホルモン療法の有無別にCox比例ハザードモデルを用いて関連を調べた。
主な結果は以下のとおり。
・すべての患者でみると、飲酒者において乳がん無発症生存率が有意に高かった(非飲酒者に対するハザード比[HR]:0.77、95%信頼区間[CI]:0.65~0.92)。
・アジュバントホルモン療法を受けていない女性では、多量飲酒者は非飲酒者より有意に乳がん無発症生存率が高かった(HR:0.63、95%CI:0.43~0.93)。
・アジュバントホルモン療法を受けている女性では、飲酒者は非飲酒者より乳がん無発症生存率が高かった(適度な飲酒者のHR:0.69、95%CI:0.51~0.93、多量飲酒者のHR:0.74、95%CI:0.57~0.96、飲酒者すべてのHR:0.71、95%CI:0.57~0.87)。
・飲酒とアジュバントホルモン療法との間に、有意な相互作用はなかった(相互作用のp:非飲酒・飲酒での層別解析で0.54、非飲酒・適度な飲酒・大量飲酒での層別解析で0.34)。
(ケアネット 金沢 浩子)