滲出型加齢黄斑変性症(nAMD)に対する抗血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬への初期反応を基に、長期視力予後を予測できるだろうか。オーストラリア・シドニー大学のVuong Nguyen氏らは、前向き観察研究において、抗VEGF阻害薬の4回目の投与までに良好な視力を達成することは、3年後の視力のアウトカムと強く関連しており、その他のパラメータは中等度の関連があることを明らかにした。著者は、「導入期の3ヵ月間におけるローディングドーズによる初期反応は、その後の治療方針決定を左右するのに役に立つ」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2018年8月24日号掲載の報告。
研究グループは、Fight Retinal Blindness! outcome registryにおいて2007年1月1日~2014年3月1日の期間に抗VEGF阻害薬による未治療nAMD患者を対象に、治療開始後最初の3ヵ月に抗VEGF阻害薬を3回投与した。初期反応を4回目の投与までに発生したものとして定義し、3年後の視力との関連を調査した。また、1)良好なVAの達成(70文字以上[20/40])、2)ベースラインからのVAの絶対的変化、3)脈絡膜新生血管病変が非活動性と最初に評価されるまでに要する時間、4)連続投与におけるVAの最大変化率の4項目について評価した。
主要評価項目は、3年経過時にVAが70文字以上を達成している眼の割合とした。
主な結果は以下のとおり。
・解析対象は、未治療nAMD患者1,828例の2,051眼であった。
・3年経過時の視力良好の達成は、以下の4つと有意に相関した。
1)4回目の投与までに良好な視力を達成(VA≧70文字vs.VA<70文字におけるオッズ比[OR]:9.8、95%信頼区間[CI]:6.5~14.7)。
2)投与初期にVA低下と比較してVAが改善:(視力改善が1~5文字と少ない場合OR:1.8、95%CI:1.2~2.6、p=0.002)、5文字よりも多い場合(OR:1.8、95%CI:1.3~2.5、p<0.001)。
3)病態が非活動性になるまでの投与回数の少なさ:≦3回 vs.>3回(OR:1.6、95%CI:1.2~2.1、p<0.001)。
4)連続投与期間における緩徐な病態変化(-4~4文字)と急速な視力改善(>5文字):急速な視力低下(OR:1.7、95%CI:1.1~2.6、p=0.015)vs.急速な視力低下(OR:1.6、95%CI:1.1~2.3、p=0.018)。
・投与初期の視力改善が少ないもしくは多い眼は、3年経過時に同等の視力を達成し(それぞれ65.0文字、64.7文字)、投与初期にVAが低下した眼(57.2文字)より視力良好であった。
(ケアネット)