マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)固形がんの日本人症例に対するペムブロリズマブの有用性が示された。MSI-H固形がん(大腸がん以外)を対象としたペムブロリズマブの第II相試験(KEYNOTE-158)における日本人7例でのサブグループ解析結果について、近畿大学の中川 和彦氏が10月18~20日に横浜市で開催された第56回日本癌治療学会学術集会で発表した。
本試験は、大腸がん以外の転移のあるもしくは切除不能のMSI-H固形がんが対象。進行もしくは標準的な1次治療に不耐容、かつECOG PS 0~1の患者がエントリーされた。ペムブロリズマブ200mgを3週ごとに最大2年間投与した。最初の1年間は9週ごとに、それ以降は12週ごとに画像診断を実施した。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性であった。
主な結果は以下のとおり。
・登録症例は全体で94例(年齢中央値:64歳、24~87歳)、日本人は7例(同:66歳、44~82歳)であった。
・2017年4月28日のデータカットオフ時点で、追跡期間中央値は全体集団で8.4ヵ月(1~15ヵ月)、日本人集団で6ヵ月(5~13ヵ月)と日本人集団で短かった。
・PSは全体集団では0と1が半数ずつに対し、日本人集団では0が5例とPS良好例が多かった。また、日本人集団のほうが治療歴が少ない症例が多かった。
・日本人の登録症例は、小腸がん、悪性中皮腫、子宮内膜がん、子宮頸がん、唾液腺がんが1例ずつ、胃がんが2例であった。
・ORRは全体集団では37%(95%CI:28~48)、日本人集団では29%(同:4~71)。日本人ではPRが2例、SDが2例に認められた。病勢コントロール率は全体集団、日本人集団とも約60%であった。
・日本人7例中5例で30%を超える腫瘍縮小効果が認められた。
・PFS中央値は全体集団で5.4ヵ月(95%CI:3.7~10.0)に対し、日本人集団では4.2ヵ月(同:1.7~NR)、2例で12ヵ月を超える病勢コントロールが得られている。
・OS中央値は全体集団、日本人集団とも13.4ヵ月であった。
・治療期間中央値は全体集団で6ヵ月(0.03~14ヵ月)、日本人集団で7ヵ月(0~13ヵ月)であった。
・治療関連有害事象の発生率は全体集団で62%、日本人集団で71%であった。Grade3以上では全体集団13%に対し、日本人集団で43%とやや高い傾向が認められたが、死亡症例は認められておらず、治療中止は1例のみであった。特徴的な有害事象として、肝機能障害と思われる症例が3例(Grade3/4:ALP増加1例、γ-GTP増加2例)認められた。
・免疫関連有害事象は、日本人7例中3例で認められた。1例にGrade3の1型糖尿病が認められたが、血糖コントロールをしながら現在も治療継続中。
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(ケアネット 金沢 浩子)