同居家族と産後うつ発症リスクとの関連 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/11/02 産後うつ病(postpartum depression:PPD)には、多くの心理社会学的および生物学的なリスク因子がある。しかし、同居家族とPPDリスクとの関連性については検討されていなかった。大阪医科大学の本庄 かおり氏らは、日本人女性における同居家族と出産1ヵ月後のPPDリスクとの関連性を調査し、この関連性が、家計収入やパートナーの育児への関与によって影響を受けるかについて検討を行った。Social Science & Medicine誌オンライン版2018年10月2日号の報告。 対象は、日本人女性8万6,490例。データは、2011年に開始された大規模全国コホート研究である「子どもの健康と環境に関する全国調査(Japan Environment and Children's Study:JECS)」より抽出した。主要予測因子は、妊娠第1三半期における同居家族(パートナー、実親[たち]、義親[たち]、子供[たち])とした。アウトカムは、出産1ヵ月後のPPDとし、エジンバラ産後うつ病尺度で評価を行った。家族およびPPD発生率に対する調整オッズ比(OR)は、多変量ロジスティック回帰分析を用いて算出した。サブグループ分析は、家計収入やパートナーの育児への関与により実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・各家族と同居していなかった女性におけるPPDの調整ORは、同居していた女性と比較し、以下のとおりであった。 ●パートナー 1.21(95%CI:1.07~1.37) ●実親(たち)1.13(95%CI:1.03~1.24) ●義親(たち)0.91(95%CI:0.84~0.98) ●子供(たち)1.42(95%CI:1.31~1.53) ・パートナーの育児への関与レベルは、家族とPPDとの関連性を変化させた。 著者らは「“妊娠中の女性が誰と同居しているか”が、出産1ヵ月後のPPDリスクに影響を及ぼし、パートナーの育児への積極的な関与は、PPD発生率に対する家族の悪影響を減少させ、好影響を増加させた。これらは、パートナーの育児支援を高めるための介入が、生活状況にかかわらず、PPD予防に有効であることを示唆している」としている。 ■関連記事 産後うつ病になりやすい女性の特徴:高知大 産後うつ病への抗うつ薬治療、その課題は 父親の産後うつ病、日本での有病率は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Honjo K, et al. Soc Sci Med. 2018 Oct 2. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 分娩様式と産後うつ病との関連~JECS研究 医療一般 日本発エビデンス(2021/09/20) 母親の産後うつ病と子供のADHDとの関係~メタ解析 医療一般(2022/10/21) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21) [ あわせて読みたい ] トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)