新規診断された進行卵巣がんのほとんどは、手術とプラチナベース化学療法による標準治療実施後、3年以内に再発する。PARP阻害薬オラパリブの有用性は再発症例に対しては確立されている。しかし、新規診断例の維持治療については十分ではない。そこで、新規診断されたBRCA1/2変異陽性の進行卵巣がんで、プラチナベースの導入治療に完全奏効(CR)または部分奏効(PR)した患者に対する、オラパリブの維持治療の有効性を評価する国際第III相SOLO1試験が行われた。試験の結果は、ミュンヘンでの欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で発表され、同時にN Engl J Med誌2018年10月21日号に掲載された。
SOLO1試験は、無作為化二重盲検比較試験。
・対象:BRCA1/2変異陽性で前治療にCRまたはPRとなった進行(Stage III/IV)卵巣がん
・試験薬:オラパリブ(300mg x 2/日)
・対照薬:プラセボ
・評価項目:[主要評価項目]治験担当医評価による無増悪生存期間(PFS)、[副次評価項目]独立中央評価委員会(BICR)評価によるPFS、PFS2、全生存期間(OS)、初めての後治療までの期間、2回目の後治療までの期間、健康関連QOL
治療は2年間継続された(進行、忍容できない毒性の発現除く)。
主な結果は以下のとおり。
・391例が登録され、オラパリブ群に260例、プラセボ群に131例に、無作為に割り付けられた。
・追跡期間は41ヵ月であった。
・治験担当医評価によるPFSは、オラパリブ群未達、プラセボ群13.8ヵ月と、オラパリブ群で有意に良好であった(HR:0.30、95%CI:0.23~0.41、p<0.0001)。3年PFS率はそれぞれ、60%と27%であった。
・BICR評価によるPFAは、オラパリブ群未達、プラセボ群14.1ヵ月と、治験担当医評価と同じく、オラパリブ群で有意に良好であった(HR:0.28、95%CI:0.20〜0.39、p<0.0001)。3年PFS率は、それぞれ、69%と35%であった。
・PFSのサブグループ解析は、すべての項目でオラパリブ群が有意であった。
・PFS2は、オラパリブ群未達、プラセボ群41.9ヵ月であった(HR:0.50、95%CI:0.35~0.72、p<0.0002)。
・中間解析による3年OS率は、オラパリブ群84%、プラセボ群80%であった(HR:0.95、95%CI:0.60〜1.53)。
・Grade3以上の有害事象(AE)の発現は、オラパリブ群39.2%、プラセボ群18.5%であった。オラパリブ群において減量を必要とした症例の割合は28.5%、治療中止に至った症例の割合は11.5%であった。
NEJMの筆頭著者である米国・オクラホマ大学のMoore氏は、ESMO2018において、オラパリブの維持治療は、新規に診断されたBRCA1/2変異陽性進行卵巣がん患者に前例のないPFS改善を示したことから、スタンダード治療として考慮すべきである、としている。
(ケアネット 細田 雅之)