退職後も働く日本人、脳卒中・糖尿病の発症が遅い

提供元:ケアネット

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公開日:2018/12/17

 

 60歳以上の日本人男性の追跡調査の結果、現在の退職年齢を過ぎて働くことが健康にプラスの影響を与えることが示唆された。慶應義塾大学の岡本 翔平氏らが報告した。Bulletin of the World Health Organization誌2018年12月号に掲載。

 著者らは、わが国の全国高齢者調査の公開されたデータから、60歳以上の男性1,288人を抽出し、死亡・認知機能低下・脳卒中・糖尿病の4つの健康アウトカムの発症について最大15年間追跡調査した。傾向スコア法を用いて、経済的、社会的および健康のデータを独立変数の形で組み込み、健康労働者効果を調整した。就労している人としていない人の健康アウトカムの時間差を計算し、退職年齢を過ぎて働くことによる健康について平均処置効果(ATE)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・就労している人はしていない人と比べて、寿命が1.91年(95%信頼区間:0.70~3.11)長かった。さらに、認知機能低下までの期間が2.22年(同:0.27~4.17)、糖尿病発症までの期間が6.05年(同:4.44~7.65)、脳卒中発症までの期間が3.35年(同:1.42~5.28)長かった。

・自営業者と従業員の比較では、寿命は自営業者のほうが長かった。糖尿病や脳卒中の発症年齢については、従業員でのみ有意なベネフィットが認められたが、自営業者ではみられなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)