サイコオンコロジー学会は、ホームページ上に学会推薦講師(精神腫瘍学)のリストを公開した。同推薦講師は学会世話人、研修会受講経験医師から構成され学会推薦の条件を備えた腫瘍精神学の専門家。推薦講師は、現在全国展開している「がん診療に携わる医師10万人に対する緩和ケア研修会」で、3分の1の時間を占める「心とコミュニケーション」を担当、オファーされた研修会にいって講師を行う。内容は、痛み・気持ちのつらさ・せん妄への対応、コミュニケーションスキルなどからなる。
がん患者さんの精神疾患の合併率は高く、末期では5割近くに精神疾患の診断がつくと報告されている。また、精神的な障害が治療方針の混乱、化学療法の障害を招くこともある。サイコオンコロジー学会代表世話人の内富庸介氏(国立がんセンター東病院精神腫瘍学開発部)は、精神的な苦痛(ストレス)も痛みなど身体的な苦痛も不快なものとして脳の同じ部位で認識される。そのため、精神的苦痛と身体的苦痛は相互に影響しており、抗がん剤開始の不安から吐き気が増幅するという現象がみられるのも、その関係が考えられるという。
内富氏はまた、がん診療医側もがん患者さんへの告知、特に治療終了の告知に大きな精神的負担を感じていると述べた。同時にがん患者さんと医師など医療提供者との意識のずれを指摘した。
がん患者さんのメンタル面のケアと同時にコミュニケーションスキル向上という、実践的な観点から拡大する「がん診療と心のケア」へ新たな支援といえるであろう。
(ケアネット 細田雅之)