オピオイド依存が深刻な米国では、疼痛マネジメントへの懸念も高いようだ。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのTalya Salz氏らは、「がんサバイバーは、オピオイド関連被害を受けるリスクが高い可能性がある」として、オピオイドの継続的使用と高用量使用について、大腸がん、肺がん、乳がんの高齢がんサバイバーと非がん対照集団の比較解析を行った。これまで、診断後のオピオイド使用の経時的傾向は知られていなかったという。解析の結果、がん種によって継続的使用の実態は異なること、診断後3~5年はサバイバーのほうが高用量の継続的使用が多い一方、診断後6年で継続的使用の差はみられないことなどが明らかになった。著者は「がん治療中および治療後の適切な疼痛マネジメント戦略では、オピオイドの高用量継続的使用のリスクを考慮しなければならない」と述べている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年2月28日号掲載の報告。
研究グループは、米国のがん登録データベース「SEER」と高齢者向け公的医療保険「メディケア」のデータを用いて、オピオイドの継続的使用(90日以上連続)について、2008~13年に大腸がん、肺がん、乳がんと診断されたオピオイド未使用サバイバーと、マッチングされた非がん対照を比較するマルチレベルロジスティック回帰分析を行った。
サバイバーと対照の継続的使用における、高用量(モルヒネ換算1日平均90mg以上)オピオイド使用の割合を比較した。
主な結果は以下のとおり。
・解析は、サバイバー4万6,789例、非がん対照13万8,136例で行われた。
・3つ(大腸がん、肺がん、乳がん)の高齢がんサバイバーの大規模集団において、オピオイドの継続的使用傾向は、がん種により異なることが確認された。
・診断日後の1年間において、大腸がんおよび肺がんサバイバーにおけるオピオイドの継続的使用は、対照のオピオイドのそれを上回っていた。大腸がんサバイバーのオッズ比(OR)は1.34(95%CI:1.22~1.47)、肺がんサバイバーのORは2.55(95%CI:2.34~2.77)であった。
・上記の差は年々短縮した。
・乳がん患者の継続的使用は対照の継続的使用と比べて、各年いずれも少なかった。
・診断から3~5年の継続的使用において、サバイバーは対照よりも高用量使用が多い傾向がみられた。一方で、診断後6年におけるサバイバーの継続的使用者は対照よりも多い傾向はみられなかった。
(ケアネット)