これまでのコホート研究で、コ―ヒー摂取によるがん、心疾患、呼吸器疾患などへの良い影響が示唆されている。今回、国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」で、コーヒー摂取による日本人の全死因および死因別死亡リスクへの影響について、日本の8つのコホート研究(Japan cohort consortium)のプール解析を行った。その結果、コーヒー1日5杯未満の摂取で全死因死亡や主な死因による死亡リスクが低下する可能性が示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2019年4月2日号に掲載。
本解析には、日本の8つのコホート研究(JPHC-IとJPHC-IIの多目的コホート研究、JACC研究、宮城県コホート研究、大崎国保コホート研究、三府県宮城コホート研究、三府県愛知コホート研究、三府県大阪コホート研究)における男性14万4,750人、女性16万8,631人のデータを用いた。17年間の平均追跡期間中に5万2,943人が死亡し、うち、がん1万9,495人、心疾患7,321人、脳血管疾患6,387人、呼吸器疾患3,490人、傷害・事故3,382人であった。ランダム効果モデルを用いて、統合ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・男女共に、コーヒー5杯/日未満の摂取が全死因死亡に予防的であり、コーヒー摂取量が最も高いカテゴリー(5杯/日以上)で関連が減弱した。
・男性では、がん以外の主な死因による死亡で同様の負の関連が観察された。
・女性では、1~2杯/日のカテゴリーでは、コーヒー摂取により心臓病による死亡リスクが減少したが、5杯/日以上のカテゴリーではリスクが増加した。
・男女共に、がんはコーヒー摂取とは関連がみられなかった。
・男性の現在喫煙者と女性の未喫煙者で結果が類似していた。
(ケアネット 金沢 浩子)