いくつかの食習慣と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染感受性や入院・重症化リスクとの間には因果関係があり、とくに赤ワイン摂取は入院と重症化のいずれのリスクも有意に増大させることが、中国・Yantai Yuhuangding HospitalのXiaoping Li氏らのメンデルランダム化研究により明らかになった。British Journal of Nutrition誌オンライン版2023年11月6日号掲載の報告。
食習慣とCOVID-19リスクとの関連は数多くの観察研究によって報告されている。しかし、交絡変数や研究の限界のためその関連はまだ不明確であり、より厳密なデザインの研究が求められていた。そこで研究グループはメンデルランダム化研究を実施し、食習慣とCOVID-19の感受性、入院・重症度の関連を推定した。解析は逆分散加重法を主要な方法として用い、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。
肉や魚、穀物、野菜、乳製品、アルコール、嗜好品などの26種類の食習慣に関するゲノムワイド関連研究(GWAS)のデータは英国バイオバンクより抽出し(約50万例)、COVID-19の感受性、入院・重症度に関するデータはCOVID-19 Host Genetics Initiative(Round7)より抽出した(約260万例)。
主な結果は以下のとおり。
・COVID-19の感受性の低下と関連していたのは、無塩ピーナッツ(OR:0.53、95%CI:0.35~0.82、p=0.004)、牛肉(OR:0.59、95%CI:0.41~0.84、p=0.004)、豚肉(OR:0.63、95%CI:0.42~0.93、p=0.022)、加工肉(OR:0.76、95%CI:0.63~0.92、p=0.005)、牛乳(OR:0.82、95%CI:0.68~0.98、p=0.032)の摂取であった。一方で、コーヒー(OR:1.23、95%CI:1.04~1.45、p=0.017)、紅茶(OR:1.17、95%CI:1.05~1.31、p=0.006)の摂取で感受性が増加していた。
・COVID-19による入院は、牛肉(OR:0.51、95%CI:0.26~0.98、p=0.042)の摂取でリスクが低減したが、赤ワイン(OR:2.35、95%CI:1.29~4.27、p=0.005)、ドライフルーツ(OR:2.08、95%CI:1.37~3.15、p=0.001)、紅茶(OR:1.54、95%CI:1.16~2.04、p=0.003)の摂取でリスクが増大した。
・COVID-19の重症化リスクを有意に低減した食習慣はなかったが、赤ワイン(OR:2.84、95%CI:1.21~6.68、p=0.017)、コーヒー(OR:2.16、95%CI:1.25~3.76、p=0.006)、ドライフルーツ(OR:1.98、95%CI:1.16~3.37、p=0.012)摂取でリスクの増大が示された。
・感度分析においても、同様の結果が得られた。
(ケアネット 森 幸子)