自分が受けているがん治療に対し、患者は何を望み、どのように考え、どんな情報を求めているのだろうか。
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、「非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんにおける治療選択に関する意識調査」を実施し、その結果を2019年5月9日に発表した。
本調査は、2018年12月13~16日に、NSCLC治療経験のある患者(現在薬物治療中または薬物治療終了から1年未満)139例を対象に、がん情報サイト「オンコロ」にてアンケート形式で実施された。
主な結果は以下のとおり。
・がん治療を行ううえで望むことは「生存期間が延びること(28.8%)」が最も多く、次いで「進行/再発しない期間が延びること(23.7%)」「これまでと変わらない生活ができること(23.7%)」だった。
・薬剤を選ぶに当たり参考にした情報は「主治医の説明(85.6%)」が最も多く、次いで「患者さんが書いているブログ(36.0%)」「学会からの情報(ガイドライン等)(32.4%)」だった。
・患者の41.7%は「薬剤による効果の差」について説明を受け、そのうち「生存期間」について説明を受けた患者は22%に留まった。
・「二次治療で使う薬剤について」説明を受けた患者は30.2%だった。
・初回の薬物治療開始時に先生から受けた説明の満足度を聞いたところ、37.5%の患者が、「どちらとも言えない」「あまり満足していない」「満足していない」と回答した。選択した理由として、「説明不足だと感じた」「選択肢が無いように思えた」「知識がなく質問などができなかった」などの回答が得られた。
・薬剤を投与できる可能性が何%であっても再生検(遺伝子検査)を受けたいと回答した患者が70.5%にのぼり、陰性であった場合でも繰り返し検査を受けたいという意向を持つ患者は73.4%だった。
・87.6%がリアルワールドデータを参考にしたいと回答し、96.4%の患者が自分のデータを進んで活用してもらいたいと回答した。「活用してもらいたいと思わない」と回答した患者はいなかった。
本調査結果を受けて、小林 国彦氏(埼玉医科大学リサーチアドミニストレーションセンター 教授)は「この調査からQOLを保ちつつ長期生存を望む患者さんの姿が明らかになった。また、初回治療だけではなく、二次治療も含めた治療の全体像を説明してもらいたいという様子が伺える。とくに重要な情報源は医師からの情報だが、十分な説明がされていないと感じている患者さんも少なくなく、医師と患者さんのコミュニケーションギャップが見てとれるため、一人ひとりの希望を聞きながら患者さんと一緒に治療選択を進めていく重要性が確認された」とコメントしている。
■参考
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリース
がん情報サイト「オンコロ」
(ケアネット 堀間 莉穂)