わが国の肺がんの静脈血栓塞栓症の発生率(Rising-VTE)/WCLC2019

提供元:ケアネット

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公開日:2019/10/21

 

 静脈血栓塞栓症(VTE)は、悪性腫瘍でよくみられる合併症である。しかし、肺がんの診断時のVTEの発生率についてはほとんど知られていない。日本の40施設を対象とした多施設前向き観察研究Rising-VTE/NEJ037について、県立広島病院の濱井 宏介氏が世界肺癌学会(WCLC2019)で発表した。

 Rising-VTE/NEJ037の対象は、切除または放射線治療不能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者。VTEは造影CTまたは下肢エコー検査に基づき診断された。試験の主要評価項目は、中央判定委員会が評価する登録後2年間の症候性および無症候性の再発または新たに診断されたVTEの発症率である。

 主な結果は以下のとおり。

・2016年6月〜2018年8月に手術または放射線療法不能なNSCLC患者1,021例が登録され、ベースラインデータとして1,013例の患者のデータが利用可能であった。
・年齢の中央値は71歳、組織型は、腺がん(63.7%)、扁平上皮がん(17.8%)、小細胞肺がん(13.5%)、その他(5.1%)であった。
・VTEの発生は6.0%(61例)であった。
・VTEの内訳は、深部静脈血栓症(DVT)が47.5%、肺塞栓症(PE)が12.1%、DVTとPEの併存が27.9%であった。
・ VTEの90.2%は腺がんであった。

 同研究の主要評価項目は、登録から2年間の症候性/非症候性VTEの再発または新規発症率。最終結果は2021年の予定で、現在追跡調査が進行中。

(ケアネット 細田 雅之)

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