妊婦は、胎児の成長に必要なn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)のレベルを高める必要がある。母親の魚類やn-3 PUFAの摂取が、産後うつ病リスクを低下させることを示唆するエビデンスが報告されているが、その結果に一貫性はない。富山大学の浜崎 景氏らは、日本人女性における妊娠中の魚類やn-3 PUFAの摂取と産後うつ病リスクとの関連について調査を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年9月19日号の報告。
日本人集団において、出産後6ヵ月までの母親の産後うつ病リスクおよび1年間の重篤な精神疾患リスクの低下に、妊娠中の魚類やn-3 PUFAの食事での摂取が関連しているかについて調査を行った。JECS(子どもの健康と環境に関する全国調査)の10万3,062件のデータより除外と重複処理を行った後、出産後6ヵ月は8万4,181人、1年間は8万1,924人について評価を行った。リスク低下の評価には、多変量ロジスティック回帰および傾向テストを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・6ヵ月間では、産後うつ病リスクの低下が認められ(魚類およびn-3 PUFA摂取の五分位:第2~第5五分位)、傾向テストでも有意な線形関連が認められた。
・1年後では、重篤な精神疾患リスクの低下が認められ(魚類の五分位:第2~第5五分位、n-3 PUFAの五分位:第3~第5五分位)、傾向テストでも有意な線形関連が認められた。
著者らは「魚類やn-3 PUFA摂取量の多い女性では、出産後6ヵ月間の産後うつ病リスクおよび1年間の重篤な精神疾患リスクの低下が認められた」としている。
(鷹野 敦夫)