アテゾリズマブ+化学療法の1次治療、進行尿路上皮がんのPFS改善(IMvigor130試験)/ESMO2019

提供元:ケアネット

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公開日:2019/10/07

 

 未治療の進行尿路上皮がん患者に対する、抗PD-L1抗体のアテゾリズマブとプラチナベース化学療法併用の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、スペイン・MD Anderson Cancer Center MadridのEnrique Grande氏から発表された。

 本試験は日本も参加した国際共同の部分盲検の第III相比較試験である。

・対象:シスプラチン投与適応または不適応の局所進行もしくは転移を有する尿路上皮がん患者1,213例
・試験群:1次療法として、アテゾリズマブ+化学療法群(ATEZ併用群:451例)、およびアテゾリズマブ単剤投与群(ATEZ単独群:362例)
・対照群:プラセボ+化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン/カルボプラチン)群(CT群:400例)
・評価項目:
[主要評価項目]ATEZ併用群とCT群における、主治医判定による無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)
[副次評価項目]奏効率、奏効期間(DOR)、PD-L1陽性集団におけるPFSとOS、安全性

 事前に計画された統計学的な設定として、初めにATEZ併用群とCT群間のPFSを検討し、そこで有意差が検出されれば、OSの検定を実施するといった階段的な統計手法が用いられている。さらに、OSで有意差が示された場合、ATEZ単独群とCT群のOSを比較する設定となっている。

 主な結果は以下のとおり。

・観察期間中央値は11.8ヵ月であった。
・登録全症例(ITT集団)におけるPFS中央値はATEZ併用群で8.2ヵ月、CT群で6.3ヵ月、ハザード比(HR)0.82(95%信頼区間[CI]:0.70~0.96)、p=0.007と統計学的な有意差が認められた。
・ITT集団におけるOS中央値はATEZ併用群で16.0ヵ月、CT群は13.4ヵ月、HR 0.83(95%CI:0.69~1.00)、p=0.027であり、本中間解析の時点では事前に設定した水準を超えず、統計学的な有意差は認められなかった。

 探索的な解析として、ATEZ単独群とCT群の比較も実施された。
・ITT集団におけるOS中央値は、それぞれ15.7ヵ月、13.1ヵ月で、HR 1.02(95%CI:0.83~1.24)だった。
・PD-L1陽性(IC2/3)の患者層では、ATEZ単剤群とCT群のOS中央値はそれぞれ未到達と17.8ヵ月、HR 0.68(95%CI:0.43~1.08)であった。PD-L1陽性/陰性(IC0/1)の患者層では、それぞれ13.5ヵ月と12.9カ月、HR 1.07(95%CI:0.86~1.33)だった。
・各群の奏効率はATEZ併用群47%、CT群44%、ATEZ単独群23%で、そのうち完全奏効の割合はそれぞれ13%、7%、6%だった。

・各群のDOR中央値はATEZ併用群8.5ヵ月、CT群7.6ヵ月、ATEZ単独群は未到達であった。
・有害事象による治療中止はATEZ併用群34%、CT群34%、ATEZ単独群6%、であり、ATEZ併用群の忍容性が認められた、また、ATEZ併用群の安全性プロファイルは、これまでのそれぞれの治療薬のプロファイルと同様であり、新たな予見はみられなかった。

(ケアネット)