胸焼けなどの胃食道逆流症状を軽減するために、コーヒーや紅茶、炭酸入り飲料を避けることが推奨されるが、この推奨をサポートする前向き研究データはなかった。今回、米国マサチューセッツ総合病院のRaaj S. Mehta氏らが、前向き研究のNurses' Health Study IIで検討した結果、コーヒーや紅茶、炭酸入り飲料の摂取により胃食道逆流症状のリスクが26~34%増加し、水や牛乳、ジュースの摂取ではリスク増加がみられないことが示された。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2019年11月28日号に掲載。
胃食道逆流症状のハザード比はコーヒーで1.34、紅茶で1.26
著者らは、Nurses' Health Study IIで「習慣的な胃食道逆流症状がない」「がんではない」「プロトンポンプ阻害薬やH
2受容体拮抗薬を服用していない」の条件を満たした42〜62歳の女性4万8,308人のデータを収集した。飲料摂取と胃食道逆流症状リスクとの関連は多変量Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。
コーヒーや紅茶、牛乳などの飲料摂取と胃食道逆流症状との関連を評価した主な結果は以下のとおり。
・26万2,641人年の追跡期間中に、胃食道逆流症状を週1回以上報告した7,961人の女性を特定した。
・多変量調整後、各飲料について摂取量が最も多い女性(1日6杯以上)の最も少ない女性(1日0杯)に対する胃食道逆流症状のハザード比(HR)は、コーヒーで1.34 (95%CI:1.13~ 1.59、傾向のp<0.0001)、紅茶で1.26(95%CI:1.03~1.55、傾向のp<0.001)、炭酸入り飲料で1.29(95%CI:1.05~1.58、傾向のp<0.0001)であった。
・カフェインの有無で層別化しても同様の結果が得られた。
・水、牛乳、ジュースの摂取と胃食道逆流症状リスクとの関連は認められなかった。
・1日2杯のコーヒー、紅茶、炭酸入り飲料を水に置き換えた場合、胃食道逆流症状のHRはコーヒーで0.96(95%CI:0.92~1.00)、紅茶で0.96(95%CI:0.92~1.00)、炭酸入り飲料で0.92(95%CI:0.89~0.96)であった。
(ケアネット 金沢 浩子)