太陽紫外線(UVR)曝露が乳がん発症リスクを減少させるという仮説がある。今回、カナダ・クイーンズ大学のTroy W. R. Hiller氏らが行った系統的レビューとメタ解析から、夏の数ヵ月間に太陽の下で1日1時間以上過ごすことで、乳がん発症リスクを減らせる可能性が示唆された。Environmental Health Perspectives誌2020年1月号に掲載。
本研究では、Medline、EMBASE、Web of Scienceで太陽UVRへの曝露と乳がんリスクの関連を調査した研究すべてを検索し、太陽の下で過ごした時間と周囲のUVR(居住地の太陽の強さ)の推計値を使用して個別に分析した。関連はランダム効果モデルのDerSimonian-Laird法を用いて推定し、異質性はサブグループ解析とI2統計量で調べた。
主な結果は以下のとおり。
・14件の研究が系統的レビューの対象に、そのうち13件がメタ解析の対象になった。うち8件が北米で実施された研究であった。
・生涯もしくは成人期に夏の数ヵ月間、1日1時間以上太陽の下で過ごすと、1時間未満と比べて乳がんリスクが減少した(統合相対リスク[RR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.77~0.91)。
・太陽の下で過ごす時間が1日1時間未満と比べて、2時間以上(RR:0.83、95%CI:0.75~0.93)と1時間以上2時間未満(RR:0.83、95%CI:0.78~0.89)において同等の保護効果がみられた。
・青年期での曝露(RR:0.83、95%CI:0.71~0.98)は、45歳以上での曝露(RR:0.97、95%CI:0.85~1.11)よりも乳がんリスクが低かった。
・周囲のUVRは、乳がんリスクと関連していなかった(RR:1.00、95%CI:0.93~1.09)。
(ケアネット 金沢 浩子)