中国湖北省・武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が急速に広がっている問題で、厚生労働省は24日、日本国内で2例目となる新型コロナウイルスに関連した感染症の症例が確認されたことを発表した。患者は武漢市から渡航した40代男性で、今月19日に来日。22日に発熱、咽頭痛があったため医療機関を受診したところ、肺炎像を認め、東京都内の医療機関に入院。国立感染症研究所が調べたところ、今日未明に新型肺炎の感染が確認された。
新型肺炎を巡っては、これまでに少なくとも18人が死亡、感染者は中国本土だけでも600人超が確認されている。厚労省は、23日付で「新型コロナウイルスに関する検査対応について(協力依頼)」を発布。感染研が新型コロナウイルスの病原体検出のためのPCR用プライマーを作成して地方衛生研究所へ送り、医療機関に検査協力を呼び掛けるなど、積極的疫学調査に乗り出した。
一方、WHO(世界保健機関)は、日本時間の24日未明に緊急委員会を開いて協議した結果、現段階では「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC:Public Health Emergency of International Concern)」には該当しないと発表している。
中国は今日から春節で、30日まで1週間の大型連休に入る。日本国内はもとより、近隣のアジア諸国や米国でも新型肺炎の感染者が確認されている中、人の移動が増えることでさらに感染が拡大する恐れもある。
旅行者が不調を訴え受診した際には、武漢市への渡航歴や、「武漢市への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人」との接触歴を聴取するなど、慎重に疑い例のスクリーニングを実施し、確定例および疑い例に対しては万全の感染対策を講じていただきたい。また、厚労省のウェブサイトでも特設ページで医療機関向けの情報が随時更新されている。
(ケアネット 鄭 優子)