日本人COVID-19の特徴、診療第一線医師が語る

提供元:ケアネット

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公開日:2020/02/17

 

 2月13日、「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応」と題したメディア・市民向けセミナーが開催された。感染症専門医4名が対応策について講じ、そのなかで、忽那 賢志氏(国立国際医療研究センター 国際感染症対策室医長)は、今回、日本で明らかにされた臨床像として、「発症から数日~1週間くらい『かぜ』のような症状が続き7割くらいの症例で肺炎を伴う、肺炎症例では胸膜下のすりガラス影~浸潤影が見られる」などの特徴を述べた(主催:日本感染症学会、日本環境感染学会、FUSEGU2020)。

 日本国内の新型コロナウイルス感染症診療にあたっている忽那氏は、2月13日時点で明らかにされている中国・武漢での臨床像を発表論文1)に基づき以下のようにまとめた。

・潜伏期は平均5.2日
・感染源の発症から2次感染者の発症まで(発症間隔)は7.5日
・受診までは4.6~5.8日
・入院までは9.1~12.5日

 また、この論文から武漢での症例の特徴について、「重症例の場合、発熱や呼吸苦の症状が強い。軽症者を含めると入院中の発熱、咳、倦怠感、筋肉痛・関節痛、悪寒が見られる」とコメント。重症41例(致死率15%)と軽症含む1,099例(中国全体31省、致死率1.4%)でほぼ同様の症状を有しており、軽症例にも胸部レントゲンや胸部CTが実施されていた。感染者のうち、胸部レントゲンで異常が見られたのは14.7%、胸部CTでは76.4%と報告されたが、これに対して同氏は「感染者全員へのCT検査推奨を意味するわけではない」ことを強調した。

 現時点でのCOVID-19による致死率は2.5%であり、ほかの新興感染症と比較して現段階では低いものの、明らかになっている感染者は氷山の一角に過ぎない。同氏は「予断は許さない。重症化しやすい患者には、ICU入室が多い高齢者・持病のある人が挙げられる。感染リスクに男女差はなく、免疫不全や妊婦の重症化は否定できないので考慮が必要」と、述べた。

 最後に「現段階では、インフルエンザと比較すると肺炎合併率が高い印象。感染率はインフルエンザと同等と考えられ、基礎疾患、高齢者・高齢者施設を守る対策の徹底が重要」と締めくくった。

(ケアネット 土井 舞子)