新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)関連肺炎の重症例について、臨床経過・転帰などを調査する目的で中国・華中科技大学のXiaobo Yang氏らがレトロスペクティブスタディを実施。その結果、SARS-CoV-2感染症による重症肺炎患者の死亡率の高さが明らかとなった。また、死亡者の生存期間は集中治療室(ICU)入室後1〜2週間以内の可能性があり、併存疾患や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する高齢者(65歳以上)では死亡リスクの上昇もみられた。Lancet誌オンライン版2020年2月24日号掲載の報告。
研究者らは、2019年12月下旬~2020年1月26日の期間、武漢市・Jin Yin-tan hospitalのICUに入院したSARS-CoV-2関連肺炎の重症患者52例を登録。人口統計、症状、検査値、併存疾患、治療、および臨床結果などのデータを収集し、生存者と死亡者のデータを比較した。2020年2月9日時点での主要評価項目は28日間の死亡率だった。副次評価項目は、SARS-CoV-2関連のARDSの発生率と人工呼吸器を使用した患者割合だった。
主な結果は以下のとおり。
・SARS-CoV-2関連肺炎710例のうち、重症患者は52例だった。
・52例の内訳は、平均年齢:59.7歳(±SD:13.3)、男性:35例(67%)、慢性疾患を有する:21例(40%)で、51例(98%)が発熱した。
・32例(61.5%)が28日で死亡し、死亡者のICU入室から死亡までの中央値は7日(四分位範囲:3~11日)だった。
・死亡者は生存者と比較して高齢(64.6歳±11.2 vs.51.9歳±12.9)で、ARDSを発症する可能性が高い(26例[81%]vs.9例[45%])、侵襲的または非侵襲的な機械的換気を受ける可能性が高い(30例[94%]vs.7 例[35%])患者だった。
・ほとんどの患者は臓器機能の障害を有し、ARDS:35例(67%)、急性腎障害:15例(29%)、心機能障害:12例(23%)、肝機能障害:15例(29%)、気胸:1例(2%)が含まれた。
・37例(71%)が人工呼吸器を必要とした。
・院内感染は7例(13.5%)で認められた。
・治療として抗ウイルス薬が投与されたのは23例(44%)で、18例にオセルタミビル、14例にガンシクロビル、7例にロピナビルが投与された。
(ケアネット 土井 舞子)