新型コロナウイルスの連鎖感染の連続症例の発症間隔について、北海道大学の西浦 博氏らが28ペアの連続症例のデータから推計したところ、潜伏期間中央値(約5日)と同等もしくはそれより短かった。この結果は、感染から発症までの間に、多くの2次感染が起こっている可能性を示唆している。International Journal of Infectious Diseases誌オンライン版2020年3月4日号に掲載。
流行初期に湖北省武漢市で報告されたデータを使用した疫学研究(Li Q, et al. N Engl J Med. 2020 Jan 29. [Epub ahead of print])では、連続症例の発症間隔は平均7.5日と推計されている。しかし、このデータには連続症例が6ペアしかなく、サンプリングバイアスがもたらされている可能性がある。
著者らは、公表されている研究論文と症例調査報告から、1次症例(infector)と2次症例(infectee)の発症日を収集。データの信頼性を主観的にランク付けし、すべてのデータ(n=28)およびデータの確実性が高いペアのサブセット(n=18)について分析した。さらに流行がまだ拡大期にあるため、データの右側切り捨てを調整した。
右側切り捨てを考慮し分析した結果、すべてのペアのデータにおいて連続症例の発症間隔の中央値は4.0日(95%信頼区間:3.1~4.9)、データの確実性が高いペアのデータに絞ると4.6日(同:3.5~5.9)と推計された。
著者らは、「COVID-19の発症間隔は、重症急性呼吸器症候群(SARS)よりも短く、SARSの発症間隔を用いた計算はバイアスをもたらす可能性がある」と指摘している。
(ケアネット 金沢 浩子)