インスリンポンプ療法に特化したQOL尺度を新規開発

提供元:ケアネット

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公開日:2020/03/17

 

 最近の1型糖尿病に対する先進的な糖尿病関連デバイスは、持続血糖モニタリング(CGM)や持続皮下インスリン注入療法(CSII)など、めざましい進歩を遂げている。

 とくにインスリンポンプ療法は、毎回煩雑な手順を踏んで注射しなくてよいため、食事の際や高血糖時など、目標の血糖まで速やかに修正できるなどのメリットがある。一方、常に装着しておかなければならず、装着部位のかゆみや服の制約などのデメリットもある。

 従来、インスリンポンプ療法の使用に関して、全般的なQOL尺度しかなかった。そこで、坂根 直樹氏(京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室)は、村田 敬氏(同、糖尿病センター)、利根 淳仁氏(岡山済生会総合病院)、豊田 雅夫氏(東海大学医学部)らと共に、インスリンポンプ療法に特化したQOL尺度を新規に開発した。

 対象となったのは、インスリンポンプ療法を行っている15歳以上の1型糖尿病患者50例(男性28%、平均年齢:47.6±17.0歳、糖尿病歴:14.7±9.7年、CSII歴:6.1±3.3年、平均HbA1c:7.4±0.8%)。

 CSIIに関するQOLを評価するために、28項目のCSII-QOLを準備した。各質問は、5点のリッカート尺度(0=まったくそうではない、1=そうではない、2=どちらともいえない、3=そのとおりだ、4=まったくそのとおりだ)を使用し、負の影響項目の逆スコアリングとして回答を得た。

 主な結果は以下のとおり。

・28項目について因子分析を行ったところ、「インスリンポンプ療法は高血糖の修正に役立つ」など「利便性」について6項目、「インスリンポンプの療法のために余暇の活動(レジャーや趣味)が制限される」など「社会的制約」が9項目、「インスリンポンプの装着は不快である」「自動車やバイク運転時の低血糖が不安である」など「心理的負担」が10項目の計3因子、25項目が抽出された。
・サンプルサイズの妥当性は許容範囲内(Kaiser-Meyer-Olkin=0.669)であり、内部一貫性(クロンバックのα信頼性係数=0.870)も妥当であった。
・Intra-class correlation coefficients(ICC)=0.65であり、相当な再現性(0.61以上)も得られた。
・糖尿病問題領質問表(PAID)とCSII-QOLとの間には、有意な負の相関があった(Kendall's Tau-b=0.468、p<0.001)。
・HbA1cとCSII-QOLに、有意な相関関係はみられなかった。

 坂根氏は「今までは全般的なQOL尺度しかなかったが、本尺度を用いることでインスリンポンプ療法の比較や介入による効果も測定することができるようになった。ぜひ、活用していただきたい」とこれからの展望を述べた。

(ケアネット)