新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、生活習慣病患者の多くが外出を自粛したことに伴い、医療機関への通院を控えた事例が散見される。では、実際どの程度の通院などの自粛がされていたのだろう。
血糖コントロールの重要性、および「血糖トレンド」の概念とその活用方法について、医学的、学術的および患者視点でわかりやすく正確な情報発信を行うこと目的とした委員会である「血糖トレンド委員会」(代表世話人: 西村 理明氏[東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 主任教授])は、生活習慣病患者にCOVID-19がどのような影響を与えたのかを分析するため調査を実施し、今回その結果を発表した。
●調査概要
・調査期間 2020年6月8日(月)・9日(火)
・調査方法 インターネット調査
・調査対象 生活習慣病患者309名(内訳:高血圧103名、2型糖尿病103名、高脂血症103名)
・実施機関 株式会社マクロミル
主な調査結果
・定期的な通院を必要とする生活習慣病患者の20.4%がコロナ感染予防を理由に通院を自粛。患者の44.9%は今後の通院もいまだに不安。
・外出自粛で変わった生活習慣。58.6%の患者が体調管理への意識が向上。
・生活習慣病患者の49.8%が自己管理ツールに関心。60代でも7%がツールを利用、49%が関心あり。
個々のアンケート調査の内容
「COVID-19の流行が始まってから、普段の通院回数に変化はありましたか」の問いに、「変わらない」(78.6%)、「減った/通院していない」(20.4%)、「増えた」(1.0%)の回答結果だった。また、「減った/通院しなかった理由」(n=63)では、複数回答で「新型コロナ感染予防のため」(77.8%)、「自主的に外出自粛をしていたため」(30.2%)の順で多かった。
「緊急事態宣言が解除されてからの通院状況について」では、「不安はなく、通院を再開した」(33.7%)、「不安はあったが、通院を再開した」(30.4%)の順で多かった。
「オンライン診療に関心があるか」では、「関心はあるが、受診したくない」(38.8%)、「関心があり、受診したい」(30.7%)、「関心がない」(28.5%)の順で多かった。
「自粛期間中、普段よりも自身の体調管理を意識したか」では、「意識をしていた」(58.6%)、「特に意識していない」(41.4%)とセルフメディケーションの意識が向上していた。
最後に「自身の健康管理をサポートしてくれるツールに興味があるか」という問いには、「興味がある」(49.8%)、「興味がない」(41.7%)、「すでに活用している」(8.4%)の回答結果で、とくに60歳以上の回答割合もほぼ同様で、スマートフォンの普及も向上し、今後活用されていく可能性が示唆された。
今回、調査を行った同委員会では、「今回の調査で、糖尿病をはじめとする生活習慣病の患者たちがコロナ感染への不安を抱えながらも、コロナ禍において前向きに体調管理に取り組んでいたことが明らかとなった」と結果を分析している。
(ケアネット 稲川 進)