内臓脂肪蓄積は大腸がん発症に関連しているが、内臓脂肪蓄積と機能障害のマーカーである内臓脂肪指数(VAI)と大腸がん発症との関連についての報告はない。今回、京都府立医科大学の岡村 拓郎氏らが、大規模コホートNAGALA研究で検討した結果、VAIの最高三分位群において大腸がん発症リスクが有意に高いことが示された。BMJ Open Gastroenterology誌2020年6月号に掲載。
本研究では、2万7,921人(男性1万6,434人、女性1万1,487人)の参加者をVAIによって三分位に分けた。VAIは、男性では(腹囲/(39.68+1.88×BMI))×(トリグリセライド/1.03)×(1.31/HDLコレステロール)、女性では(腹囲/(36.58+1.89×BMI))×(トリグリセライド/0.81)×(1.52/HDLコレステロール)で算出した。性別、年齢、喫煙、飲酒、運動、ヘモグロビンA1c、収縮期血圧で調整し、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間(中央値4.4年)中に、116人が大腸がんを発症した。
・単変量解析では、最低三分位群と比較して、中間および最高三分位群における大腸がん発症のハザード比(HR)は1.30(95%信頼区間[CI]:0.76~2.28、p=0.338)および2.41(同:1.50〜4.02、p<0.001)で、最高三分位群で有意に高かった。
・共変量の調整後、中間および最高三分位群における大腸がん発症のHRは1.27(95%CI:0.73〜2.23、p=0.396)および1.98(同:1.15〜3.39、p=0.013)で、最高三分位群で有意に高かった。
著者らは「VAIは大腸がん発症の予測因子になりうる。大腸がんの早期発見のために、VAIが高い人に大腸がん検診を勧めるべき」と結論している。
(ケアネット 金沢 浩子)