認知症発症の根底には、性差によるホルモンの影響が関与している可能性がある。米国・南カリフォルニア大学のJing Luo氏らは、同性および異性の二卵性双生児における認知症発症率を比較し、推定される出生前のホルモン環境が認知症リスクと関連しているかを検討した。Alzheimer's & Dementia(Amsterdam, Netherlands)誌2020年6月21日号の報告。
対象は、Swedish Twin Registryより抽出された60歳以上の二卵性双生児ペア4万3,254例。男女別に生存分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・異性ペアの女性は、同性ペアの女性と比較し、認知症リスクが有意に低かったが、その差は70歳以降で認められた(ハザード比:0.64、p=0.004)。
・結果は認知症の出生後のリスク因子では説明されず、双子のタイプとアポリポ蛋白E(APOE)ε4との相互作用は認められなかった。
・男性では、同性ペアと異性ペアの間で有意な差は認められなかった。
著者らは「本結果は、出生前の男性的なホルモン環境が、女性の認知症リスクの低下と相関していることを示唆するものである」としている。
(鷹野 敦夫)