2020年8月3日、日本感染症学会は『今冬のインフルエンザとCOVID-19に備えて』の提言を学会ホームページ内に公開した。
新型コロナウイルスの流行を推測した研究によると、この冬、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行が予測されており、とくにインフルエンザの流行期と重なることで、重大な事態になることが危惧されている。また、インフルエンザとの混合感染は、COVID-19入院患者の4.3~49.5%に認められている1、2、3)。
そのため、本提言は、石田 直氏(インフルエンザ委員会委員長/倉敷中央病院)をワーキンググループ委員長に迎え、インフルエンザおよびCOVID-19の専門家、医師会の角田 徹氏(東京都医師会副会長/角田外科消化器科医院 院長)や釜萢 敏氏(日本医師会常任理事/小泉小児科医院 院長)が参加して作成された。開業医の視点を取り入れながら議論が進められており、検査の進め方については、両感染症の鑑別を第一とする原則を重視しながらも、流行行状況や感染者との接触、あるいは特徴的な臨床症状を考え、強く疑う感染症の検査を優先する考え方も提唱されている。
掲載内容は以下のとおり。
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I はじめに
II インフルエンザとCOVID-19
― インフルエンザとCOVID-19の相違(表1)
― COVID-19流行レベルの定義の目安(表2)
III 検査について
―各流行レベルにおけるSARS-CoV-2検査の適応指針の目安(表3)
―個人防護具の使用(表4)
―鼻かみ液の使用について
―唾液の使用について
―鼻前庭検体の取り扱いについて
COVID-19およびインフルエンザを想定した外来診療検査のフローチャート(図)
IV 治療について
―薬剤感受性サーベイランスについて
―バロキサビルと変異ウイルスについて
―抗インフルエンザ薬について
V ワクチンについて
小児(特に乳幼児〜小学校低学年) 2020-2021
VI 基本的な考え
VII 診断・検査-総論
VIII 検査診断の実際
― COVID-19流行レベルの定義の目安(表5)
― 各流行レベルにおける SARS-CoV-2 迅速診断キット(供給状況により核酸増幅検査)の適応指針の目安(表6)
― 施設別の検体採取部位・検体採取場所・PPE の目安(1)[感染リスクだけではなく、流行状況や診療効率を含めた総合的判定](表7-1)
― 施設別の検体採取部位・検体採取場所・PPE の目安(2)[感染リスクだけではなく、流行状況や診療効率を含めた総合的判定](表7-2)
IX 治療の実際
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なお、本提言は7月時点での情報をもとに作成しており、検査法に関する新しい技術やエビデンスの発表を受けて適宜改訂される予定。
(ケアネット 土井 舞子)