口腔扁平上皮がん患者の予後を改善する有用なアプローチが提示された。術前補助免疫療法や、抗PD-1抗体と抗CTLA-4抗体の併用は、抗腫瘍免疫応答を増強し、有用な治療戦略と考えられているが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJonathan D. Schoenfeld氏らによる検討において、ニボルマブ単独投与およびニボルマブ+イピリムマブ併用投与は、どちらも外科的切除前に施行可能であり、奏効率は両群とも良好であることが示された。著者は、「これらの薬剤を用いた術前補助療法の、さらなる研究の進展が望まれる」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年8月27日号掲載の報告。
研究グループは、2016~19年に未治療の口腔扁平上皮がん(≧T2、または臨床的にリンパ節転移陽性)患者29例を登録し、ニボルマブ群(3mg/kg、1週目と3週目に投与)、またはニボルマブ+イピリムマブ群(イピリムマブ1mg/kg、1週目のみ投与)に無作為に割り付け、2サイクル治療後の3~7日に手術を行った。
主要評価項目は、安全性および双方向評価法による腫瘍体積に基づく有効性であった。副次評価項目は、病理学的および客観的奏効率、無増悪生存(PFS)、全生存(OS)。原発腫瘍免疫マーカーは、多重免疫蛍光法を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・29例(ニボルマブ群14例、ニボルマブ+イピリムマブ群15例)の患者背景は、平均年齢62歳、男性18例(62%)/女性11例(38%)で、舌がんが16例と最も多く、ベースラインの臨床病期分類はT2が20例、T3以上が9例、リンパ節転移陽性17例(59%)であった。
・第1サイクルから手術までの期間の中央値は19日であり、手術の遅れはなかった。
・治療関連有害事象は21例に認められ、Grade3/4の事象はニボルマブ群2例、ニボルマブ+イピリムマブ群5例であった。
・ニボルマブ群およびニボルマブ+イピリムマブ群ともに、抗腫瘍効果が認められた(腫瘍体積に基づく奏効:50% vs.53%、病理学的進展度の低下:53% vs.69%、RECISTに基づく奏効:13% vs.38%、病理学的奏効:54% vs.73%)。
・4例(ニボルマブ群1例、ニボルマブ+イピリムマブ群3例)で、90%以上の病理学的完全奏効が得られた。
・追跡期間中央値14.2ヵ月において、1年PFS率は85%、OS率は89%であった。
(ケアネット)