カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のDaniel Renouf氏は、転移を有する膵管腺がんに対する標準治療であるゲムシタビン+nab-パクリタキセル併用療法と、これに抗PD-L1抗体デュルバルマブと抗CTLA-4抗体tremelimumabの2剤を追加した併用療法を比較した無作為化非盲検第II相PA.7試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。4剤併用療法は、2剤併用療法との比較で全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)のいずれも改善が認められなかったと報告した。
・対象:未治療の転移を有する膵管腺がん(PS0~1)180例
・試験薬群:ゲムシタビン1,000mg/m2+nab-パクリタキセル125mg/m2+デュルバルマブ1,500mg+tremelimumab75mg 4週ごと(4剤併用療法群、119例)
・対照群:ゲムシタビン1,000mg/m2+nab-パクリタキセル125mg/m2 4週ごと(2剤併用療法群、61例)
・評価項目:
[主要評価項目]OS
[副次評価項目]PFS、ORR、安全性・毒性
[3次評価項目]QOL
主な結果は以下のとおり。
・OS中央値は4剤併用療法群9.8ヵ月、2剤併用療法群8.8ヵ月、で、統計学的に有意な差は認められなかった(HR:0.94、90%CI:0.71~1.25、p=0.72)。
・PFS中央値は4剤併用療法群5.5ヵ月、2剤併用療法群5.4ヵ月で統計学的に有意な差は認められなかった(HR:0.98、90%CI:0.75~1.29、p=0.91)。
・ORRは4剤併用療法群30.3%、2剤併用療法群23.0%であった(OR:1.49、90%CI:0.81~2.72、p=0.28)。
・病勢コントロール率(DCR)は4剤併用療法群70.6%、2剤併用療法群57.4%で、4剤併用療法群で改善傾向が認められた(OR:1.69、90%CI:0.99~2.89、p=0.10)。
・Grade3以上の治療関連有害事象の発現率は、4剤併用療法群84%、2剤併用療法群76%であった。
Renouf氏は、今回の結果ではOS、PFS、ORRは有意差はなく、DCRでは改善傾向が認められたと報告したうえで、今回のような患者集団での免疫感受性を予測できるバイオマーカーに関する研究が現在進行中であることを明らかにした。
(ケアネット)