ペットを飼うことが認知症患者に及ぼす影響

提供元:ケアネット

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公開日:2020/11/03

 

 ペットを飼うことについては、多くの集団において病気に対するポジティブな影響が報告されているが、認知症患者における身体的および心理的ウェルビーイングとの関連はよくわかっていない。英国・マンチェスター・メトロポリタン大学のCarol Opdebeeck氏らは、ペットを飼うことが認知症患者に及ぼす影響について調査を行った。Journal of Applied Gerontology誌オンライン版2020年10月7日号の報告。

認知症に対するポジティブな影響はペットを飼うことより世話をしているかと関連

 本研究には、Improving the experience of Dementia and Enhancing Active Life(IDEAL)研究より、軽度~中等度の認知症在宅患者1,542例のベースラインデータを使用した。ペットの所有およびその世話と、自己報告による歩行、孤独感、うつ病、QOLとの関連を調査するため、回帰分析を用いた。

 ペットを飼うことが認知症患者に及ぼす影響について調査した主な結果は以下のとおり。

・共変量で調整後、ペットを飼うことは、前の週に3時間以上歩行した経験と関連が認められた。
・犬を飼っていて、その世話をしている患者は、犬を飼っていない患者よりも、孤独を感じることが少なかった。
・ペットを飼っているが、その世話をしていない患者は、ペットを飼っていない患者よりも、うつ病の増加およびQOL低下との関連が認められた。

 著者らは「認知症患者に対するポジティブな影響は、ペットの世話をしているかどうかと関連していた」としている。

(鷹野 敦夫)