禁煙は健康、とくにメンタルヘルスに好影響を及ぼす可能性がある。イラン・Baqiyatallah University of Medical SciencesのSohrab Amiri氏は、禁煙者におけるうつ病有病率を明らかにするため、検討を行った。Journal of Addictive Diseases誌オンライン版2020年10月21日号の報告。
PRISMAガイドラインを用いて、メタ解析を実施した。2020年7月までに英語で報告された研究を、PubMed、Scopusより検索した。うつ病の有病率に関連する結果を算出し、プールした。
主な結果は以下のとおり。
・研究デザインの異なる49研究が抽出された。
・禁煙者のうつ病有病率は18%(信頼区間[CI]:14~22%)であった。
・うつ病の有病率が最も高かったのは、アジアと欧州、次いで米国であった。
・禁煙者の大うつ病有病率は15%、うつ症状の有症率は17%であった。
・禁煙者は、現在の喫煙者と比較し、うつ病のオッズ比が低かった(オッズ比:0.63、CI:0.54~0.75、I2=83.9%)。
・出版バイアスは、ほとんど認められなかった。
著者らは「禁煙者のうつ病有病率は、非喫煙者や現在の喫煙者とは異なっていた。健康政策および禁煙を推奨するという観点から、メンタルヘルスへの好影響を考慮する必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)