音楽療法や音楽医学がうつ病に及ぼす影響およびその影響に関連する潜在的な因子を調査するため、中国・Bengbu Medical UniversityのQishou Tang氏らが、検討を行った。PLOS ONE誌2020年11月18日号の報告。
2020年5月までにうつ病に対する音楽による介入の有効性を評価した研究を、PubMed(MEDLINE)、Ovid-Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、EMBASE、Web of Science、Clinical Evidenceより検索した。標準化された平均差(SMD)の推定には、変量効果モデルおよび固定効果モデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・55件のランダム化比較試験をメタ解析に含めた。
・音楽療法は、対照群と比較し、抑うつ症状の有意な改善を示した(SMD:-0.66、95%CI:-0.86~-0.46、p<0.001)。音楽医学は、抑うつ症状軽減に対する強い効果が認められた(SMD:-1.33、95%CI:-1.96~-0.70、p<0.001)。
・音楽療法の種類により、異なる効果が認められた。
●レクリエーション音楽療法(SMD:-1.41、95%CI:-2.63~-0.20、p<0.001)
●音楽とイメージ誘導法(SMD:-1.08、95%CI:-1.72~-0.43、p<0.001)
●音楽支援リラクセーション(SMD:-0.81、95%CI:-1.24~-0.38、p<0.001)
●音楽イメージ療法(SMD:-0.38、95%CI:-0.81~0.06、p=0.312)
●即興音楽療法(SMD:-0.27、95%CI:-0.49~-0.05、p=0.001)
●音楽ディスカッション療法(SMD:-0.26、95%CI:-1.12~0.60、p=0.225)
・音楽療法および音楽医学は、長期介入と比較し、短中期介入において強い効果が認められた。
著者らは「うつ病に対する音楽療法および音楽医学は、その種類により異なる効果が認められており、その効果は治療プロセスにより影響を受ける可能性がある」としている。
(鷹野 敦夫)