AYA世代(15~39歳)のがんは、通常のがん集団とは異なる点が多いが、その疫学的特徴と傾向についてのデータは不足している。今回、米国・Penn State Cancer InstituteのAlyssa R. Scott氏らが、米国人口ベースの後ろ向き横断研究を実施したところ、AYA世代におけるがんの発生率は42年間で29.6%増加しており、腎がんが最も高い増加率だった。JAMA Network Open誌2020年12月1日号の報告。
AYA世代でがんと診断された患者の割合は診断時の年齢とともに増加
研究者らは、1973年1月1日~2015年12月31日のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベースのレジストリデータ(SEER 9、SEER 18)を使用。最初の分析は、2019年1月1日~8月31日に実施された。
AYA世代におけるがんの増加を研究した主な結果は以下のとおり。
・本研究は、1973~2015年に診断された合計49万7,452例のAYA世代がん患者を対象とし、女性29万3,848例(59.1%)、男性20万3,604例(40.9%)で、79.9%が白人だった。
・AYA世代でがんと診断された患者の割合は、診断時の年齢とともに増加した(15~19歳:3万1,645例[6.4%]、35~39歳:19万7,030例[39.6%])。
・15~19歳を除くすべてのAYA世代年齢サブグループで、男性と比較して女性のほうがより多くがんと診断されていた(1万4,800例[46.8%]vs.1万6,845例[53.2%])。
・女性のAYA世代では、7万2,564例(24.7%)が乳がん、4万8,865例(16.6%)が甲状腺がん、3万3,828例(11.5%)が子宮頸部および子宮がんと診断されていた。
・男性のAYA世代では、3万7,597例(18.5%)が精巣がん、2万850例(10.2%)が悪性黒色腫、1万9,532例(9.6%)が非ホジキンリンパ腫と診断されていた。
・AYA世代のがんの発生率は、1973~2015年の42年間で29.6%増加し、10万人当たりの平均年間変化率(APC)は0.537(95%信頼区間[CI]:0.426~0.648、p<0.001)だった。腎臓がんにおけるAPCは、男性で3.572(95%CI:3.049~4.097、p<0.001)、女性で3.632(3.105~4.162、p<0.001)と、双方で最大の増加率となった。
著者らは、「AYA世代のがんは独特の疫学的パターンを持ち、健康への懸念が高まっている。1973年から2015年にかけて多くのがんサブタイプの発生率が増加していた。本結果は、この集団における明らかな健康上の懸念を理解し、対処するために重要だ」と結論している。
(ケアネット 堀間 莉穂)