厚生労働省は、小児診療の実態や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の回復後における継続的治療の必要性などの観点から、新型コロナ感染が急速に拡大している間の特例措置として、2020年12月15日付けで事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)」を発出した。
「外来における小児診療等に係る評価」と「新型コロナウイルス感染症からの回復患者の転院支援」に関する上乗せ加算が軸となっている。これに対し、16日に実施された日本医師会の記者会見で、松本 吉郎常任理事が補足説明を行った。
乳幼児への外来診療などに感染予防策加算上乗せ
(1)外来における小児診療等に係る評価
今回、感染予防策実施について、より配慮が求められる6歳未満の乳幼児への外来診療などに対する評価として、通常の乳幼児加算に上乗せで医科100点、歯科55点、調剤12点を特例的に算定できることとなった。これは、『小児の外来診療におけるコロナウイルス感染症2019(COVID-19)診療指針』を参考に、感染予防策を講じた上で外来診療などを実施した場合、初診・再診に関わらず算定可能。
(2)新型コロナウイルス感染症からの回復患者の転院支援
COVID-19から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関において、必要な感染予防策を講じた上で入院診療を行った場合の評価を3倍に引き上げ、これまでの250点から750点となった(臨時特例二類感染症患者入院診療加算)。
なお、算定に当たっては、患者またはその家族に対して、院内感染予防に留意した対応をしっかり行っている旨を十分に説明し、同意を得る必要がある。松本氏は、「医療現場の皆さまには一定の負担をかけることになるが、口頭で構わないので説明と同意への対応をお願いしたい」と理解を求めた。
乳幼児診療への感染予防策加算は小児科に限定されない
記者会見では、補足説明として「両加算は発出時点(12月15日)から算定可能」「乳幼児診療への加算は小児科に限定されず、病院・診療所も問わない」「あらゆる現行の算定に対して上乗せで算定できる」などが示された。松本氏は、「まずは今回の措置をきっかけに、医療機関が継続的に感染予防策に取り組むことで、受診をためらっていた患者・家族に安心を与え、疾病の悪化や健康への悪影響が少しでも軽減されることを期待している」と述べた。
日本医師会は、今回の措置も不可欠だが決して十分ではなく、COVID-19に対応する全国すべての医療機関・医療従事者に対して、精神的ケアと人的・物的サポートが提供され、崩壊が進む医療提供体制の立て直しの一助となるよう、さらなる対応を引き続き要望していくとした。
(ケアネット 堀間 莉穂)