日本人男性における周産期うつ病有病率~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2021/01/18

 

 周産期うつ病は、女性のみならず男性においても発症する精神疾患である。父親の周産期うつ病の有病率に関するこれまでの国際的なメタ解析では、異文化または社会経済的環境が父親のうつ病に影響を及ぼす可能性があることを示唆している。しかし、これらのデータが、日本人男性においても当てはまるかどうかは明らかでなく、日本人男性を対象とした報告は少ない。獨協医科大学の徳満 敬大氏らは、日本人男性における周産期うつ病の有病率を推定するため、検討を行った。Annals of General Psychiatry誌2020年11月18日号の報告。

 1994年1月~2018年6月に報告された日本人男性を対象とした出産前または産後うつ病の有病率に関する研究を、PubMed、医中誌より検索し、データを抽出した。日本人男性における父親の周産期うつ病の期間有病率を調査し、性差に関するサブグループ解析も実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・基準を満たした研究は、最終的に15件であった。
・男性における出産前または期間別の産後うつ病の有病率は、以下のとおりであった。
 ●出産前:8.5%(95%CI:3.3~20.3)
 ●産後1ヵ月以内:9.7%(95%CI:7.4~12.8)
 ●産後1~3ヵ月:8.6%(95%CI:5.5~13.3)
 ●産後3~6ヵ月:13.2%(95%CI:11.6~15.0)
 ●産後6~12ヵ月:8.2%(95%CI:1.3~38.0)
・出産前うつ病の有病率は、女性よりも男性のほうが有意に低かった。
・産後うつ病の有病率は、男女間で有意な差が認められなかった。

 著者らは「日本人男性における周産期うつ病の有病率は、全体として約10%であり、産後3~6ヵ月でピークに達していた。本結果は、国際的なメタ解析の結果と類似していた。とくに、産後うつ病の有病率は、女性だけでなく男性においても同様に高いことが明らかとなった。そのため、父親の周産期うつ病に対しては、出産前よりも産後により注意を払う必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)