バーチャル開催のJSMO2021、注目演題を発表/日本臨床腫瘍学会

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2021/02/02

 

 2021年2月18日(木)~21日(日)、第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2021)が完全バーチャル形式で開催される。これに先立ち、プレスセミナーが開催され、今回のJSMO2021の取り組みや注目演題等が発表された。

JSMO2021のテーマは「Evolving Treatment Paradigms for Precision Oncology」

 この中で、会長を務める西尾 和人氏(近畿大学医学部ゲノム生物学教室 教授)が学会の概要を説明。昨年夏にいち早く完全バーチャル形式での開催を決めたJSMO2021は、例年より長めの日程となり、海外演者も数多く登壇予定だ。「朝は7時から夜は23時まで多くの演題を用意し、勤務のある方でも参加しやすくした」(西尾氏)。

 JSMO2021のテーマは「Evolving Treatment Paradigms for Precision Oncology」で、2019年にがん遺伝子パネル検査が保険収載となってから1年半あまりで、がんの臨床現場を大きく変えたゲノム医療についてリアルワールドデータやアジア各国のとの協働研究の結果が報告される。また、15の学術部会による教育シンポジウムや患者支援企画、国際学会としてASCO(米国腫瘍学会)やESMO(欧州腫瘍学会)とのジョイントセミナーや少人数で各国の腫瘍内科医とディスカッションする「Meet the Experts」も多数設けられた。その他の注力テーマとしては「COVID-19流行下におけるがん診療」と、リキッドバイオプシーや人工知能(AI)の臨床応用といった「新しいテクノロジーにおけるがん医療の変革」が設定され、いずれも複数のセッションが予定されている。

 続けて、中川 和彦氏(近畿大学医学部内科学教室 教授)が、JSMO2021における900題にのぼる一般演題の中で、とくに注目される3つのPresidential Sessionについて、詳細を解説した。

Presidential Session 1
2月19日(金) 14:00~15:55 「免疫チェックポイント阻害剤の治療開発」
1)進行食道がんに対するペムブロリズマブ+化学療法 KEYNOTE-590:原 浩樹氏(埼玉県立がんセンター)
2)MSI-high/dMMR の転移のある大腸がんに対するペムブロリズマブvs.化学療法KEYNOTE-177:吉野 孝之氏(国立がん研究センター東病院)
3)進行非扁平上皮非小細胞肺がんに対するニボルマブ+プラチナ化学療法+ベバシズマブ 日本人サブ解析:樋田 豊明氏(愛知県がんセンター)
4)肺肉腫に対する2つの抗PD-1抗体(ニボルマブとペムブロリズマブ):板橋 耕太氏(国立がん研究センター中央病院)
5)R/R AML患者におけるAMG330:Farhad Ravandi氏(米MDアンダーソンがんセンター)

Presidential Session 2
2月20日(土) 15:30~15:35 「分子標的治療と殺細胞性抗がん剤治療」
1)術後ハイリスク頭頸部がんに対する化学療法 :田原 信氏(国立がん研究センター東病院)
2)EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対するベバシズマブ+エルロチニブ OSとctDNA解析:福原 達朗氏(宮城県立がんセンター)
3)HER2陽性進行乳がんへのペルツズマブ再投与:遠山 竜也氏(名古屋市立大学)
4)再発または転移のある子宮頸がんに対するtisotumab:Robert L. Coleman氏(米国立がん研究所)
5)進行大腸がんにおけるAMG510:久保木 恭利氏(国立がん研究センター東病院)

Presidential Session 3
2月21日(日) 14:50~16:50 「ゲノム医療と希少がん」
1)進行胃がんにおけるctDNAによる遺伝子異常 SCRUM-Japan MONSTAR SCREEN:舛石 俊樹氏(愛知県がんセンター)
2)泌尿生殖器がんにおけるctDNAによるゲノム解析:野々村 祝夫氏(大阪大学)
3)日本におけるがんゲノム医療における初期エキスパートパネルのパフォーマンス:角南 久仁子氏(国立がん研究センター中央病院)
4)原発不明がんに対するNGSを用いた遺伝子発現解析と遺伝子変異による原発巣推定に基づくSite-Specific Treatment:新井 誠人氏(千葉大学)
5)小児がん患者における抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心・嘔吐予防としてのパロノセトロン:古賀 友紀氏(九州大学)

 19~21日には、その日に発表された演題の中から、とくに注目すべきものを識者が解説する「Highlight of the Day」(1時間)も予定されている。

◆第18回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2021)
ライブ配信:2021年2月18日(木)~21日(日)
オンデマンド配信:2021年3月1日(月)~31日(水)

(ケアネット 杉崎 真名)

参考文献・参考サイトはこちら