中国から子宮頸がんスクリーニングプログラムの新たな方法について検討した結果が報告された。中国・北京協和医学院のJunji Zhang氏らは、全国的な子宮頸がんスクリーニングプログラムにおける新しいスクリーニング法として、高リスク型ヒトパピローマウイルス(hrHPV)検査の有用性を評価する多施設共同無作為化非盲検臨床試験を行い、hrHPV検査はプライマリケア施設において有効な1次スクリーニング法であることを示した。著者は、「中国の全国的なスクリーニングプログラムにhrHPV検査(都市部ではPCR法、地方ではハイブリッドキャプチャー法)を導入することは妥当である」と結論付けている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年12月30日号掲載の報告。
研究グループは、中国の都市部および地方のプライマリケア施設20ヵ所において、地域住民を対象とした無作為化非盲検臨床試験を行った。対象は35~64歳の女性で、1施設3,000例以上の参加を呼び掛け、合計6万732例が評価を受けた。
参加者はベースラインで、細胞診、hrHPV検査、または酢酸/ルゴールヨード(VIA/VILI)による肉眼検査(地方のみ)に無作為に割り付けられ、hrHPV検査陽性者は、細胞診トリアージ検査群、VIA/VILIトリアージ検査群(地方のみ)、または直接コルポスコピー群に無作為に割り付けられた。1次検査またはトリアージ検査で、細胞学的異常を認めた場合またはVIA/VILIで陽性と判定された場合は、直接コルポスコピーに紹介した。
24ヵ月後、細胞診、hrHPV検査およびVIA/VILIの同時スクリーニングを実施し、陽性結果を示したすべての女性がコルポスコピーに紹介された。
主要評価項目は、子宮頸部上皮内病変(CIN)のグレード2以上(CIN2+)およびCIN3+の検出率。副次評価項目はコルポスコピー紹介率であった。
主な結果は以下のとおり。
・6万732例の年齢中央値は47歳で、無作為化の内訳は、都市部では細胞診が8,955例、hrHPVジェノタイプ判定検査が1万8,176例、地方ではVIA/VILIが1万1,136例、細胞診が7,080例、hrHPV検査が1万5,385例であった。
・hrHPV検査陽性で直接コルポスコピーを紹介された患者は、ベースラインでの疾患検出率のリスク比(RR)が高かった。
・検出率のRRは、都市部のhrHPV vs.細胞診でCIN2+が2.2(95%信頼区間[CI]:1.6~3.2)、CIN3+が2.0(1.2~3.3)であり、地方のhrHPV vs.細胞診では、それぞれ2.6(1.9~4.0)、2.7(2.0~3.6)、また、地方のhrHPV vs.VIA/VILIでは、それぞれ2.0(1.6~2.3)、2.3(1.8~3.1)だった。
・24ヵ月時点の地方において、ベースラインhrHPV検査陰性例は、ベースライン細胞診陰性例に比べてCIN2+検出率のRRが0.3(95%CI:0.2~0.5)、またベースラインVIA/VILI陰性例に対しては0.3(0.2~0.6)と、いずれも有意に低かった。
・同様に、CIN3+検出率のRRも、それぞれ0.3(95%CI:0.1~0.6)、0.4(0.2~0.8)と有意に低かった。
・地方におけるhrHPV陽性例のコルポスコピー紹介率は、細胞診トリアージによって2.8%に低下し、CIN2+検出率は細胞診(RR:2.1、95%CI:1.3~2.6)またはVIA/VILI(RR:1.6、95%CI:1.03~2.1)に比べて有意に高かった。
・細胞診トリアージによるhrHPVジェノタイプ判定検査は、都市部において細胞診と比較し、コルポスコピー紹介率を有意に低下させた(RR:0.8、95%CI:0.7~0.9)。
(ケアネット)