ホルモン受容体(HR)陽性の男性乳がん患者において、標準的内分泌療法によるエストラジオール値の変化は不明である。今回、ドイツ・Kliniken Essen-MitteのMattea Reinisch氏らが第II相無作為化試験で調べたところ、アロマターゼ阻害薬(AI)またはタモキシフェンにゴナドトロピン放出ホルモンアナログ(GnRHa)を併用した群では、エストラジオール値が持続的に低下することが示された。JAMA Oncology誌オンライン版2021年2月4日号に掲載。
本研究の対象は、ドイツ国内のブレストユニット24施設から2012年10月~2017年5月に組み入れられたHR陽性乳がんの男性患者56例で、タモキシフェン単独、タモキシフェン+GnRHa、AI+GnRHaの3群に無作為に割り付けた。主要評価項目はベースラインから3ヵ月後のエストラジオール値の変化、副次評価項目は6ヵ月後のエストラジオール値の変化と、他の内分泌パラメータ、有害事象、性機能、生活の質の3ヵ月および6ヵ月後の変化とした。
主な結果は以下のとおり。
・男性患者(年齢中央値:61.5歳、範囲:37~83歳)56例中52例が治療を開始し、3例(各群1例)が早期に治療中止した。50例が主要評価項目について評価可能であった。
・3ヵ月後のエストラジオール値の中央値は、タモキシフェン群では67%増加(+17.0 ng/L)、タモキシフェン+GnRHa群では85%減少(-23.0ng/L)、AI+GnRHa群では 72%減少(-18.5ng/L)がみられた(p<0.001)。
・6ヵ月後のエストラジオール値の中央値は、タモキシフェン群では41%増加(+12 ng/L)、タモキシフェン+GnRHa群では61%減少(-19.5ng/L)、AI+GnRHa群では64%減少(-17.0ng/L)がみられた(p<0.001)。
(ケアネット 金沢 浩子)