新型コロナワクチン接種後、倦怠感や頭痛、発熱などのほかに、稀ではあるもののリンパ節腫脹や消化器症状など多様な症状がみられていることが報告された。4月23日に開催された厚生労働省第56回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で1)、ファイザー社製ワクチン接種者の安全性を調査する前向き観察研究の更新データを、伊藤 澄信氏(順天堂大学医学部臨床研究・治験センター)が報告した2)。
この観察研究は、先行接種が行われた医療従事者を対象に、ワクチン接種者の最終接種4週後までの安全性を調査するコホート研究。体温のほか疼痛や発赤などの接種部位反応、倦怠感や頭痛などの全身反応の有無が報告され、それらの集計結果概要は既報の通り。
本稿では、健康観察日誌の自由記載欄の中間集計結果を以下に抜粋する(1回目/2回目)。なお、同集計データのデータカットオフは4月14日、1回目は1万9,162例、2回目は1万6,907例が集計対象となっている。
筋肉痛:412例(2.15%)/559例(3.31%)
悪寒:361例(1.88%)/1,758例(10.40%)
関節痛:272例(1.42%)/1,709例(10.11%)
ワクチン接種部位運動障害:245例(1.28%)/93例(0.55%)
悪心:231例(1.21%)/629例(3.72%)
下痢:200例(1.04%)/277例(1.64%)
四肢不快感:193例(1.01%)/84例(0.50%)
口腔咽頭痛:166例(0.87%)/211例(1.25%)
傾眠:160例(0.83%)/95例(0.56%)
疼痛:134例(0.70%)/161例(0.95%)
浮動性めまい:133例(0.69%)/189例(1.12%)
ワクチン接種部位疼痛:121例(0.63%)/-
感覚鈍麻:119例(0.62%)/97例(0.57%)
頭痛:97例(0.51%)/143例(0.85%)
咳嗽:95例(0.50%)/154例(0.91%)
背部痛:84例(0.44%)/364例(2.15%)
発疹:76例(0.40%)/-
筋骨格硬直:74例(0.39%)/100例(0.59%)
腹痛:73例(0.38%)/117例(0.69%)
異常感:72例(0.38%)/64例(0.38%)
ワクチン接種部位内出血:72例(0.38%)/-
四肢痛:68例(0.35%)/81例(0.48%)
熱感:59例(0.31%)/-
口腔咽頭不快感:59例(0.31%)/-
そう痒症:57例(0.30%)/-
筋力低下:53例(0.28%)/-
発熱:46例(0.24%)/313例(1.85%)
腹部不快感:45例(0.23%)/85例(0.50%)
蕁麻疹:44例(0.23%)/56例(0.33%)
腋窩痛:-/207例(1.22%)
食欲減退:-/143例(0.85%)
リンパ節症:-/120例(0.71%)
嘔吐:-/101例(0.60%)
リンパ節痛:-/68例(0.40%)
倦怠感:-/68例(0.40%)
頚部痛:-/66例(0.39%)
なお、1回目接種後49例(0.26%)、2回目接種後1,093例(6.46%)が翌日病休していることも報告された。伊藤氏は、とくに2回目接種後に腋窩リンパ節腫大を含む反応性リンパ節腫脹が2%強みられている点について、通常のワクチン接種ではあまりみられないと指摘。消化器症状なども含め、このように多様な症状がみられる可能性があるということを、あらかじめ知っておくことが重要ではないかと話した。
(ケアネット 遊佐 なつみ)