産後うつ病の有病率と環境要因~IGEDEPPコホート研究

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/01

 

 IGEDEPP(Interaction of Gene and Environment of Depression during PostPartum)研究とは、2011~16年に出産した白人女性3,310人を対象とし、産後1年目までフォローアップを行ったプロスペクティブコホート研究である。フランス・パリ大学のSarah Tebeka氏らは、IGEDEPP研究における早期および遅発性の産後うつ病の有病率および累積発症率の推定を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年4月16日号の報告。

 ベースラインにおける社会人口統計データ、個人および家族の精神疾患歴、小児期および妊娠期のストレスの多いライフイベントを評価した。早期および遅発性の産後うつ病は、DSM-5基準を用いて、それぞれ産後8週間、1年間で評価を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・産後うつ病の有病率は、それぞれ以下のとおりであった。
 ●早期産後うつ病:8.3%(95%CI:7.3~9.3)
 ●遅発性産後うつ病:12.9%(95%CI:11.5~14.2)
・産後うつ病の累積発症率は、それぞれ以下のとおりであった。
 ●早期産後うつ病(8週間):8.5%(95%CI:7.4~9.6)
 ●遅発性産後うつ病(1年間):18.1%(95%CI:17.1~19.2)
・コホートの約半数にあたる1,571人(47.5%)は、1つ以上の精神疾患または嗜癖性障害を有していた。主な病歴は、うつ病性障害であった(35%)。
・約300人(9.0%)において、小児期のトラウマが報告された。
・妊娠女性の47.7%は、ストレスの多いイベントを経験しており、その割合は、産後8週間で30.2%、産後8週~1年で43.9%であった。
・5人に1人の女性は、産後8週間以内に1つ以上のストレスの多いイベントを経験していた。

 著者らは「うつ病エピソードは、産後1年間で5人に1人の女性に影響を及ぼしていた。多くの女性は、周産期にストレスの多いイベントを経験していた。今後のIGEDEPP研究において、産後の精神疾患に対する小児期および妊娠関連のストレスの多いイベントの影響を検討する予定である」としている。

(鷹野 敦夫)