EGFR変異陽性NSCLCに対するエルロチニブ術前/術後療法のOS結果(CTONG1103)/ASCO2021

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2021/06/20

 

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前/術後療法としてのエルロチニブと化学療法の比較試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、中国・Guangdong Provincial People’s HospitalのYi-Long Wu氏から報告された。

 本試験は中国国内で実施されたオープンラベル無作為化比較第II相試験であり、すでにエルロチニブによる無増悪生存期間(PFS)の有意な延長が報告されている。今回は、その全生存期間(OS)の解析を含めた最終報告である。

・対象:Stage IIIA-N2 EGFR変異陽性の未治療症例72例
・試験群:術前にエルロチニブ150㎎/日を42日間投与し、術後に同量のエルロチニブを1年間投与(E群:37例)
・対照群:術前にゲムシタビン(1250mg/m2)+シスプラチン(75mg/m2)を3週ごと2サイクル投与、術後に同量のゲムシタビン+シスプラチンを3週ごと2サイクル投与(GC群:35例)
・評価項目:
[主要評価項目]全奏効率(ORR)
[副次評価項目]病理的完全奏効(pCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、3年・5年時OS率、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中央値62.5ヵ月時点でのOS中央値はE群42.2ヵ月、GC群36.9ヵ月、ハザード比[HR]:0.83、95%信頼区間[CI]:0.47~1.47)p=0.513であった。
・3年OS率は、E群58.6%、GC群55.9%であり、5年時OS率は、それぞれ40.8%と27.6%であった。
・アップデートされたPFSは、その中央値でE群21.5ヵ月、GC群11.4ヵ月、HR:0.36、95%CI:0.21~0.61)、p<0.001であった。
・試験治療後の再発例には、両群ともそのほとんどに(87%~94%)TKI製剤が投与されており、その奏効率は、E群で53.3%、GC群で52.2%であった。(すべてPR)
・Grade3/4の有害事象は、術前のE群では出現はなく、術後では皮膚障害、下痢、肝機能障害などが報告された。またGC群では、術前も術後も血液毒性の報告が主であった。

 演者は「エルロチニブの術前/術後の投与はOS改善の可能性を示唆した。また、後治療としてのEGFR-TKI投与がE群だけでなくGC群の予後改善にも寄与しているものと考えられる。」と述べた。

(ケアネット)